衰え知らずのベテランがズラリ J1終盤戦でチームを救う“イケてる”30歳オーバー10人を厳選

柏好文は好調・広島を陰で支える

■柏好文(広島/35歳/MF/18試合3得点)

 ミヒャエル・スキッベ監督の下で好調の広島だが、左サイドの主力の1人である東俊希が、7月30日のJ1第23節FC東京戦で左太腿を負傷。全治3か月と診断された。それでもチームに動揺が見られなかったのは、柏好文という実力者が健在だからだろう。彼に関しては年齢で語るのが失礼なぐらい、十二分のバイタリティーがある。

 日本代表DFの佐々木翔とのコンビも絶品で、縦のアップダウンはもちろん「柏といえば左45度」と本人も言ってはばからないカットインからのミドルシュートも相手ディフェンスの脅威だ。彼が万全である限り広島の左サイドにはなんの不安もない。柏戦では右サイドでも起用されたが、東のシーズン中の復帰が不透明ななかで、22歳の川村拓夢にも奮起を期待したい。

■遠藤保仁(磐田/42歳/MF/25試合0得点)

”オーバー30”どころか”オーバー40”だが、現在最下位の磐田が逆転残留を果たすために、第一に欠かせない柱の1人だ。運動量という部分ではどうしてもトータルで下がってしまうことは否めない。それでもボールを失わずに展開するクオリティー、視野の広さは別格で、守備でも危険を察知して潰しに行くプレーは要所で発揮されている。

 J1第26節・名古屋戦から指揮する渋谷洋樹新監督にとっても戦術的なキーマンであることは間違いないが、中盤での負荷が軽いほど、より前向きなプレーが出てくるはず。その意味でも、非凡な機動力を備える上原力也や鹿沼直生のさらなる奮起が、遠藤の創造力を開放する鍵と言えるかもしれない。

■チョン・ソンリョン(川崎/37歳/GK/23試合27失点)

 逆転でのリーグ3連覇を狙う川崎にあって、最後尾から支える守護神の存在は心強いだろう。勝ち点3を得ている試合でも、4-1で勝利した前節の福岡戦などを例外として、ギリギリの勝負が続いている。そうした戦いのなかで、在籍7年目の韓国人GKが危機的な場面でチームを救い、終盤の勝ち越しや同点劇につなげた試合は一度や二度ではない。

 また、ビルドアップ面でもアップデートが見られるのは努力の結晶だろう。早生まれのチョン・ソンリョンは鹿島のクォン・スンテと同世代。かつて韓国代表でも切磋琢磨してきた2人が、優勝を争う2つのクラブを支えているのも感慨深いものがあるかもしれない。身内の不幸があり、一時帰国したという報道もあるが、終盤戦も安定感抜群のゴールキーピングと力強いコーチングでチームを盛り立てていくはずだ。

(河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji)

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河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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