衰え知らずのベテランがズラリ J1終盤戦でチームを救う“イケてる”30歳オーバー10人を厳選
【識者コラム】チームの主力として活躍する30歳以上のベテラン10人を選出
J1リーグの2022年シーズンも残り10試合を切った。試合数にバラ付きはあるが、どのクラブもリーグ優勝、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)圏内、残留争いのどれかしらに絡んでおり、ここからの結果が命運を握ることは間違いない。そこで、チームの主力として活躍する30歳オーバーから10人をピックアップした。
■乾貴士(清水/34歳/MF/4試合0得点)
7月にセレッソ大阪を退団して、一時はJ2岡山の練習に参加させてもらいながらコンディションを維持する状況だったが、清水に移籍すると、鳥栖戦の途中出場から効果的な仕掛けやパスでチームに躍動感をもたらした。いまだ移籍初ゴールはないが、同じく夏に加入したMFヤゴ・ピカチュウ、FW北川航也とともに、ここ4試合で勝ち点8をもたらす原動力になっている。
目を見張るのは”フォア・ザ・チーム”の意識が随所に表れていること。ドイツ、スペインで経験を積んできた元日本代表の実力に疑いの余地はなく、J1残留は最低限として、1つでも上位でフィニシュするためのキーマンだ。
■山口蛍(神戸/31歳/MF/24試合1得点)
今回取り上げた中では最年少だが、経験値という基準では大ベテランにも匹敵する。シーズンに暫定を含めて3度の監督交代を経験し、残留争いの渦中にある神戸で、絶対に欠かせない存在だ。残念ながらACLは準々決勝で敗れてしまったが、中盤で幅広く守り、攻撃の起点として稼働する姿は外から観ても、頼もしさを感じた。
5月の札幌戦を除くリーグ戦にスタメン起用されており、主にボランチとして激しくプレーしながら、実は警告が1つもないというクリーンな選手でもある。決定的な仕事は同じベテランでも38歳のMFイニエスタや32歳のFW大迫勇也にかかるところは大きいが、この男が重要な”バイプレーヤー”であることは間違いない。
■クォン・スンテ(鹿島/37歳/GK/26試合32失点)
前節の湘南戦はセットプレーから追い付かれて1-1の引き分けに終わったが、守護神の働きがなければさらなる失点で負けていた可能性が高い。チームの方針転換もあってか、過去2年間は出番が限られていたが、ゴールを守るという第一の仕事にかけては沖悠哉を含めて、いまだに後輩たちの追随を許さないものがある。
9月に38歳となるが、身体能力に衰えの気配はない。何よりパンチングやキャッチングが明確で、余計な二次攻撃を相手に与えないというのが強みで、なかなか攻守の歯車が噛み合わない中でも、26試合で44という勝ち点を積み上げられた大きな要因の1つだと筆者は考えている。
河治良幸
かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。