ソシエダ久保建英、“FW暫定起用”の真相は? 現地記者が考察…絶対的エース復帰までが勝負「タケには時間が残されている」
【スペイン発コラム】現地記者が久保のFW起用を分析「中盤の人材が豊富だからだ」
久保建英はレアル・ソシエダ加入後、プレシーズンで4-4-2システムのトップ下、4-3-3ステムの右ウイングや右インサイドハーフで起用されたにもかかわらず、今季開幕後に起用されたポジションは予想外のFWだった。
久保曰く、FW起用は「練習でもまったくテストしていないぶっつけ本番だった」とのことだが、デビュー戦で決勝ゴールを決め、イマノル・アルグアシル監督の期待にすぐさま応えた。しかしここで1つの疑問が挙がる。それは「久保がずっとFWでプレーし続けるのか?」というものだ。今後の可能性について、現地記者に推測してもらった。
スペインの通信社「EFE通信」のカルロス・ロドリゲス・バレーロ記者は久保がFWで起用される理由について、「中盤の人材が豊富だからだ。レアル・ソシエダのMF陣は創造力にあふれており、ゴールチャンスを作り出すことに長けている選手が揃っている」と中盤の選手層の厚さを挙げていた。
地元メディアでは現在、開幕から2戦続けて先発出場しているマルティン・スビメンディ、ブライス・メンデス、ミケル・メリーノ、ダビド・シルバの4人が中盤の絶対的なレギュラーと目されている。さらにアシエル・イジャラメンディ、アンデル・ゲバーラ、ベニャト・トゥリエンテス、ロベルト・ナバーロなどが控えており戦力は十分だ。
一方、FW陣はミケル・オヤルサバルやカルロス・フェルナンデスが長期負傷中で選手層が薄い。このような状況のため、スピードと攻撃力を兼ね備えた久保がモハメド=アリ・チョーやアンデル・バレネチェア、ジョン・カリカブルなどを抑え、2トップの左で抜擢されているとのことだ。
監督が“FW久保”に求めていることについては、「タケはMF陣からパスを受け、最後の局面でチャンスメイクするという重要な役割を担っている。(アレクサンデル)イサクをサポートする仕事をしながらも、自身でもゴールを狙うというプレーを求められているが、ここまでの2試合を見た限り、素晴らしいパフォーマンスを見せている」とセカンドトップとしての仕事ぶりを高評価した。
高橋智行
たかはし・ともゆき/茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、スペインリーグを中心としたメディアの仕事に携わっている。