閉塞感漂うハリルJ “ザック流”の復活と、ボールロスト「42回」が示すキーマン封じの罠
ハリルジャパンが戻った「いつもの姿」
それでは、日本が屈辱的な逆転負けを喫したUAE戦のデータを見てみよう。
ポゼッション率59%対41%、そして86%という高いパス成功率を見る限り、この日の日本代表が示したデータはハリルホジッチ監督就任以前の“いつもの姿”に戻っている。
相手よりたくさんのシュートを打っているではないか? シュート効率も上がっているではないか? PA(ペナルティーエリア)内のシュート数だって14本対3本と圧倒しているではないか? そうした意見も出てくるだろうが、すべてその通りだ。問題はその通りにプレーするから、相手に読まれて対応されてしまっている点である。
ブロックされたシュート数は、日本の7本に対してUAEは0本。UAEはPKが含まれているので当然ブロックされるわけがない。これが一つのヒントだ。ブロックされる必要のない状況下でのシュートこそが、得点の可能性を高めるプレー。ブロックされたシュート=相手DFがシュートが来ると分かって体を張って防ぎに来ている状況下での7本のシュートを除くと、日本のシュート効率は27本から39本へと一気に落ちてしまう。
ゴールに近い位置でのシュートの方が、得点確率は明らかに高まる。日本はそこで14本のシュートを放ちながら、枠内に飛んだのは6本、43%だ。UAEは3本しか打っていないが、そのうち2本、67%が枠内シュートだ。PKのように相手がペナルティーエリアに入れない状況、早い攻撃で相手DFの人数と態勢が揃う前にいかにシュートが打てる状況を作るかという、ハリルホジッチ監督が当初目指した形をUAEが行い、日本ができなかったことに問題がある。
態勢が整う前に攻める攻撃とは、言うまでもなくカウンターアタックだ。日本代表は120回の攻撃機会(アタッキングサードにボールを運んだ数)があったが、そのうち13回がカウンターアタック(10.8%)だった。一方のUAEは、74回の攻撃機会に対して9回がカウンターアタック(12.2%)だった。