閉塞感漂うハリルJ “ザック流”の復活と、ボールロスト「42回」が示すキーマン封じの罠
UAEに1-2敗戦で見えた日本代表の課題をデータから分析
2016年9月1日、日本代表の6大会連続出場を懸けたロシア・ワールドカップ(W杯)アジア最終予選が始まった。試合を中継するテレビ局の「絶対に負けられない戦い」というお決まりのフレーズが、「初戦に敗戦した場合のW杯出場率0%」という一見衝撃的なデータとともに紹介されている。1998年フランス大会以降の過去5回のアジア最終予選で、黒星発進したチームは本大会に到達できていないという。
日本はその間、開催国として出場した2002年大会以外の大陸予選を戦った4大会のアジア最終予選の初戦で、以下の通りすべて勝利を収めている。
【98年大会以降のアジア最終予選初戦の結果】
1998年大会(1997.9.7)=日本6-3ウズベキスタン(H)
2006年大会(2005.2.9)=日本2-1北朝鮮(H)
2010年大会(2008.9.6)=日本3-2バーレーン(A)
2014年大会(2012.6.3)=日本3-0オマーン(H)
日本がW杯出場を最後に逃したのは1994年アメリカ大会で、93年10月にカタールで開催された最終予選で「ドーハの悲劇」を味わい、ギリギリのところで出場権を逃している。日本サッカー界はこの時の悔しさを糧に、同年にスタートしたJリーグの発展とともに指導者養成、普及活動など地道な強化も実って、その後は悲願のW杯出場の夢を叶え、5大会連続出場という実績を積み重ねてきた。
そうした近年の流れを踏まえれば、今回の初戦黒星という結果が歴史的な敗戦であるのは間違いない。試合終了後、バヒド・ハリルホジッチ監督も本田圭佑も「受け入れがたい」という表現を使った。当然、結果は受け入れがたいものだろう。だが同時に屈辱的な結果を招いた、“受け入れなくてはいけないもの”もあるはずだ。ここではいたずらに「0%」という数字を用いて危機感を煽るのではなく、データの面からUAE戦敗戦の要因を探ってみたい。