「国際レベルの戦いだと思い知らされた」 パトゥム手倉森監督、浦和に大敗で痛感したJリーグとタイリーグの「差」
手倉森監督は「攻守の切り替え」の違いに言及
BGパトゥム(タイ)を率いる手倉森誠監督は、8月22日のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)準々決勝で浦和レッズに0-4と敗戦。試合後に「スッキリと負けたことで、我々は気持ち良く前に進んでいける」と、今後の発展を誓った。
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今年に入ってパトゥムの監督に就任した手倉森監督は、タイサッカーの成長に可能性を感じる旨を試合前日会見でも話していた。そして、浦和と埼玉スタジアムで対戦できることを選手たちが喜んでいるとも話したが、この試合についても「何か起こせそうな気配を持ちながらゲームに入った」のだという。
立ち上がりから2回、浦和のゴールシーンがビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)の確認で取り消されたこともあり、「さらに何かを起こせそうな」気持ちになったという手倉森監督。しかし、ピッチ上では前半32分にMFダヴィド・モーベルグのゴールで先制されると、10分後にはDF岩波拓也にコーナーキックから追加点を奪われた。後半、3バックに変更するなど手を打ったが、さらに2点を奪われての敗戦になった。
手倉森監督がJリーグとタイリーグの差を感じたところは、この試合でも「圧倒された」という攻守の切り替えだという。
「これがJリーグとの戦い、国際レベルの戦いだと思い知らされたところは、やはり切り替えの部分。奪われた瞬間にすかさず奪いに来るところ、奪った瞬間にまずダイレクトプレーで相手を脅かすような速さというのがJリーグにはあるなと。タイリーグは暑さもあって、奪われた瞬間でも相手がゆっくりしてくれることもある。めまぐるしく攻守の切り替えを速くやられるとまだまだ弱点が出てしまうのは、今のチームの力だと思う」
そのうえで、試合後のロッカールームで選手たちに「健闘したのではないか」と声を掛けたという手倉森監督は、今後の発展も誓っている。
「浦和のようなゴールを我々も取れるようにならなければいけない。いろいろなものを教えてもらった今日の試合をしっかりと財産にして、常にインターナショナルを意識しながら高まっていこう、という話をしてきた。クラブの歴史上で最大のビッグマッチで、惜しかったという負け方ではなくスッキリと負けたことで、我々は気持ち良く前に進んでいける」
試合後にパトゥムの選手たちは、埼玉スタジアムの北ゴール裏で浦和に大声援を送ったサポーターたちに挨拶をした。相手チームの応援を行うスタンド部分だが、手倉森監督はその行動を「選手は『スタジアムがすごく、雰囲気がある』と。その中で本当に鍛え上げてもらった。特に会場の雰囲気に関しては、選手たちが浦和のサポーターのところへ行って挨拶したあたりは、いい環境の中で試合をさせてもらったことへの感謝だったんだと思う」と話した。
ほかにもマレーシアのジョホール・ダルル・タクジムがグループステージで首位通過するなど、ACLの戦いでタイを含め東南アジアのクラブが存在感を示し始めている。タイでは手倉森監督だけでなく、過去に鹿島アントラーズを率いた石井正忠氏もブリーラム・ユナイテッドを率いて昨季のリーグ優勝に導いた。こうした大敗の経験もまた、今後の成長の財産にして東南アジア勢は存在感を大きくしていきそうだ。
(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)