Jリーグ終盤戦の飛躍に期待、“03ジャパン”逸材8人 ガンバの若きストライカー&18歳高校生プロMFらタレント厳選

磐田のトップ昇格1年目MF藤原は、渋谷新体制で重要なプラスアルファになり得る

■藤原健介(MF/ジュビロ磐田)

 トップ昇格1年目の藤原は今季、ルヴァン杯や天皇杯ではチャンスを得たが、リーグ戦には一度も絡めず「(前監督の伊藤)彰さんを助けられなかった」と悔やむ。そうした思いもぶつける形で、代表合宿では高い技術と運動量、周りを見ながらサッカーができるスペシャリティーを発揮した。藤原の才能は富樫監督も高く評価しており、セットプレーのメインキッカーの1人でもあることから、U-20アジアカップ予選のメンバー入りは濃厚だ。同世代には飛び級でU-21代表に定着しているMF松木玖生(FC東京)やMF山根陸(横浜F・マリノス)といった磐田より上位のJ1クラブで多くの出場機会を得ているライバルもいる。渋谷洋樹新監督も藤原のようなこれまでリーグ戦に絡めなかった若手の活躍が残留争いで必要になってくることを認めており、特にラスト数試合で重要なプラスアルファになり得る。

■菊地脩太(DF/V・ファーレン長崎)

 清水エスパルスからJ2の長崎に育成型期限付きで移籍中。J1昇格を目指す長崎に新天地を移した事実が、期待の高さを窺わせる。誕生日の翌日だったベトナム戦では1本目から登場して、対人の強さとクレバーな統率力を発揮していた。ビルドアップも正確性が高く、状況に応じてボランチやサイドバックだけでなく、前線の裏抜けやポストプレーも引き出すことができる明るいキャラクターの持ち主だ。長崎にはDF二見宏志やDF櫛引一紀といったセンターバックの実力者がおり、実は清水に比べても競争は簡単ではないが、本人にも良いチャレンジになると同時に、長崎の助けになることを期待したい。

■横山歩夢(FW/松本山雅FC)

 これまでの“03ジャパン”の代表合宿や初の海外遠征となったフランスのモーリスレベロ・トーナメントで着実に得点を重ねるなど、同世代のエース候補として名乗りをあげている。クラブでは代表合宿への合流直前の鹿児島ユナイテッド戦(2-4)でゴール。「警戒されて何もできなかったらそれまでの選手」と、さらなる飛躍を見据える。ベトナム戦では坂本とともに3本目の40分しかプレーしなかったが、効果的なポストプレーで、熊取谷のゴールを演出。さらに自らの仕掛けで獲得したPKをしっかりと決めて、1得点1アシストをマークした。「山雅は優勝して昇格しなければいけないチーム」と語る横山。本人も前向きな意欲を見せるU-20アジアカップ予選に招集されれば、少なくともリーグ戦3試合で横山を欠くことになるが、J2昇格が懸かる終盤戦で大きな力になっていくはずだ。

■吉田温紀(DF/名古屋グランパス)

 センターバックもこなせる長身のボランチで、観察眼とボールを奪う能力に優れている。特に目を見張るのがリスクマネジメントで、ベトナム戦では中盤でコンビを組んだ藤原との連係はもちろん、左サイドバックのDF松田隼風(水戸)が攻め上がった時に、中間的なポジションで攻撃サポートと守備のバランス両方で良い効果をもたらしていた。名古屋ではMFレオ・シルバやMF稲垣祥の控え的な立場で、夏の補強で経験豊富なMF永木亮太もライバルに加わった。バランスワークは素晴らしいが、縦パスや機を見た攻撃参加など、攻撃に大きなプラスをもたらせる要素は強く意識してもらいたいところだ。

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河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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