鹿島FWエヴェラウド“超絶オーバーヘッド弾”秘話 世界各国メディアで大反響の一撃、「何よりも嬉しかった」反応とは?
「あの時は、本能的にオーバーヘッドをすることを決めていた」
――鈴木選手との2トップの関係性ですが、ポジショニングの時に大事にしていることはありますか?
「大前提として、監督がセンターフォワードを2人置くのは、フィニッシャーが欲しい、得点が欲しいという考えがあるからです。その監督の考えを、僕たちはできるだけ実現するため、クロスボールに対してシュートできる場所にいないといけません。鈴木選手と組む場合は、彼はフリーマンというか、ライン間だったり、サイドに流れたりと、自由を与えられてプレーしています。ですから、どちらか1人は中央にいて、サイドを崩した時にフィニッシュできるようにしないといけません。また、センターフォワードが2人いると、DFにとっては厄介です。DFが嫌がるポジショニングを、お互いに取らないといけない。負担をかけて、ボディブローを打っていくことが、私たちの役割の一つです。センターフォワードが2人いれば、サポーターも僕たちに得点を期待するので、その仕事をできる形に持っていかないといけません。距離感だったり、それぞれの役割を意識したりしながらプレーすることが多いです」
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――ボールを浮かせてから、そのままシュートを打ちました。
「ボールを浮かせた後は、すぐにシュートを狙いました。子供の頃に遊んでいた動きが自然に出て、身体が勝手に反応するんです。あの時は、本能的にオーバーヘッドをすることを決めていました。多くの場合、ミスしてしまう確率が高いのですが、決まる時は毎回、綺麗なゴールになりますし、本当に決まって良かったなと思います。ゴールが決まってからは、喜ぶだけでしたね(笑)」
――ゴールに背を向けた時、ゴールの位置はどのように把握しているのですか?
「言葉で説明するのは難しいです。というのも、感覚的なものだからです。ただ、練習はしないといけません。練習を重ね、キャリアの中で経験を積んでいくと、感覚的に『ゴールはここら辺にあるな』と分かります。あとは、ゴールラインやペナルティーラインを気にしながらですね。これはGKも同じだと思います。ゴールがどこにあるかを意識しながら、シュートブロックに出てきます。それも練習の積み重ねであり、子供たちが急にやりだして、今日明日でこうした点を決めることは、なかなか難しいでしょう。遊びからの延長線で、こういうことができるようになるということを、子供たちには学んでほしいと思います」
――このゴールは世界中で報道され、多くの反響があったと思います。ご自身が一番、嬉しかった反響はどういうものでしたか?
「反響は、日本だけでなく世界中からありました。ブラジルでも、いろいろなスポーツチャンネルやサッカー番組でも報じられて、ヨーロッパでも大手メディアに紹介してもらっています。サッカーフリークの人にSNSで拡散され、その反響の速さや大きさには驚きました。今、僕の2人の息子は、教育の都合で妻と一緒にブラジルに帰国しているのですが、このゴールが決まった後、ブラジルは朝の9時頃だったと思います。彼らが起きるタイミングで、まだパジャマを着ていた彼らに、僕の得点シーンを見てくれたんです。そうしたら、彼らは鹿島アントラーズのユニフォームに着替えて、自分たちで『エヴェラウドがバイシクルシュートを打った! ゴール!』と、実況をつけながら、リビングのカーペットの上でバイシクルシュートの練習を始めたんです。その映像を見た時が、一番嬉しかったですね。もう何か月も離れて生活していますが、親として、常に自分が子供の手本になりたいと思って、私生活を含め過ごしているなかで、プロのサッカー選手として、子供たちが真似をしてくれたのは、何よりも嬉しかったです」
――「キャプテン翼のようだ」という反応もありましたが、何かオーバーヘッドを打つ際のインスピレーションになるようなものはありましたか?
「僕はサッカーを見ることが好きで、ヨーロッパでプレーしている選手の映像も見ていました。リバウド選手をはじめ、ブラジル人選手はよく決めていたりするので、特にこの選手のプレーを参考にしたというのはありませんが、バイシクルシュートなど、アクロバティックなシュートに僕は魅了されていました。誰が見ても『ゴラッソ(すごいゴール)だ』と分かりますし、そういう難しいことをやりたいな、難しいゴールを決めたいなと強く思っています。僕は何事に対しても、簡単な選択と難しい選択があれば、難しい選択をして成し遂げたいと思う性格です。キャリアのなかで、多くのゴールをオーバーヘッドで決めましたが、これは一番印象的なものとなりました。今後もこうした点を取り、みなさんの記憶に残る選手になりたいですね」