プレミアリーグ日本人コンビ、三笘&冨安の“15分間”から浮かぶ日本代表への影響

ブライトンMF三笘薫とアーセナルDF冨安健洋【写真:Getty Images】
ブライトンMF三笘薫とアーセナルDF冨安健洋【写真:Getty Images】

【識者コラム】プレミア第2節、ともに後半30分から出場した三笘&冨安に注目

 プレミアリーグの日本人選手、三笘薫と冨安健洋が第2節で15分間プレーした。

 開幕戦でマンチェスター・ユナイテッドを破ったブライトンはホームでニューカッスルと対戦。三笘は0-0で迎えた後半30分に登場し、15分間で2回の決定機を演出した。

 同37分、左サイドの三笘から1つ内側のハーフスペースへ走り込んだMFパスカル・グロスへパスを通す。グロスのプルバックからのチャンスはGKとカバーリングのDFに阻まれたが1点ものだった。

 3分後には最大の見せ場。イングランド代表DFキーラン・トリッピアーを深い切り返しと、得意の縦にぶっちぎるドリブルで抜き去り、ニアポスト近くまで侵入して十八番の短いプラバックを送ったが、グロスのシュートは枠を外れた。後半アディショナルタイム3分にも突破したがラストパスは合わず。

 Jリーグで何回も繰り返されたシーンだが、プレミアでも無双ぶりは変わらなかった。しかし、すでにプレシーズンマッチでも能力を見せつけていたにもかかわらず開幕戦は先発メンバーから外れ、第2節もプレー時間は15分程度だった。

 左サイドでの攻撃力に関して疑いの余地はない。質は十分。課題は量なのだと思う。

 開幕戦で活躍したFWレアンドロ・トロサールが第2節でも先発したのは当然と言える。3-4-2-1システムの左ウイングバックのポジションは三笘と同じ。ニューカッスル戦でも交代するまでの75分間は存在感を示していた。カットインからのシュートやパスで攻撃を牽引している。トロサールは運動量も多い。要求されるダイナミックな上下動をやり通していた。

 三笘もトロサールに負けない運動量を見せ、トロサールを上回る決定機を作り出した。ただし、15分間なのだ。もっと長い時間でも運動量をキープしたうえで同じ質のプレーをやれるのかどうか。できるかもしれないし、できないのかもしれない。まだやっていないので何とも言えないわけだが、監督がトロサールを優先したのは質だけでなく量を信頼したのだろうと考えられる。

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西部謙司

にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。

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