J1リーグ「残留争い」、8クラブの前線“火力”チェック 静岡勢で明暗…攻撃力で“頭1つ抜けた”清水に大きなアドバンテージ
町野がブレイクの湘南は、FW大橋、瀬川の出来次第で“火力”が上昇も
■14位:湘南ベルマーレ
火力9(打開力:4 決定力:3 選手層:2)
14位の湘南はE-1選手権で3得点を挙げた日本代表FW町野修斗が8得点を記録しているが、FW全体としては“火力”が十分とは言えない。札幌と同じくチャンスメイクまでは悪くなく、シュート数も245本だが、得点は全体で2番目に少ない19と、得点率は上記の札幌を下回っている。それでも町野というエースが確立されたことで、ここまで2得点のFW大橋祐紀や1得点のFW瀬川祐輔がファイナルサードで前向きにボールを受けられるシーンも増えており、終盤戦で“火力”が上昇する可能性もある。
■15位:清水エスパルス
火力13(打開力:4 決定力:4 選手層:5)
15位の清水はこと攻撃力に関しては頭1つ抜けたものがある。シーズン前半戦はFW陣に怪我人も多く、U-21日本代表のFW鈴木唯人に依存する傾向が強かった。しかし、復帰したFWチアゴ・サンタナがポストプレーからフィニッシュまで、獅子奮迅の働きで引っ張り、途中就任のゼ・リカルド監督が攻守のバランスを整備したことで、攻撃面にも良い影響が出て来ている。
そして清水が“残留争い組”で目を見張るのは夏の補強で、セレッソ大阪から途中退団していたMF乾貴士をはじめ、話題のブラジル人FWヤゴ・ピカチュウ 、オーストリアから復帰のFW北川航也とライバルも羨む補強を行っており、打開力に優れるFWカルリーニョス・ジュニオや193センチFWオ・セフン、コソボ代表MFベンジャミン・コロリと非常に充実している。ここに鈴木やサイドアタッカーのMF中山克広が怪我から戻ると、ベンチからも溢れる陣容に。総合的な“火力”の高さは残留争いで大きなアドバンテージだ。
■16位:ガンバ大阪
火力10(打開力:3 決定力:3 選手層:4)
暫定16位のガンバ大阪は現状評価で“火力”は10にとどまったが、きっかけ1つで清水と同等レベルに化ける可能性がある。何しろ日本代表クラスのFW鈴木武蔵(←ベールスホット/ベルギー)とFW食野亮太郎(←エストリル/ポルトガル)を欧州から引っ張って来たうえに、鹿島から右の仕掛け人であるMFファン・アラーノを獲得した。前線やサイドに良い形でボールを供給する形が確立されていないが、成長株のFW山見大登、“眠れるストライカー”FWレアンドロ・ペレイラの奮起にも期待したいところだ。
河治良幸
かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。