鹿島の決断は“常勝軍団らしさ”の証!? 岩政新監督に期待される鈴木優磨“覚醒”への環境整備
経営陣が変わり、ジーコが退任しても「鹿島らしさは残っている」
今年の鹿島は、これまでの「キーワード」から変わりつつある。「住友金属」「ジーコ」「鈴木満氏を中心とした強化部」という、これまで鹿島のベースになってきた部分が見直された。
それ故、「経営がメルカリに変わった」「ジーコがテクニカル・ダイレクターを退任した」「吉岡宗重フットボール・ダイレクターに代わった」ために、この交代劇が起きたと思われる部分もあるだろう。
だが、実はこの「決断」は非常に鹿島らしいと言える。
というのも、今年は上記の「エクスキューズ」が存在する年。現在の順位を考えると降格することはないだろう。このまま体制を変えずにシーズン終了まで過ごし、タイトルが取れなかったとしても批判されることは少ないはずで、もし成績が伸びなければその時点で監督交代すれば納得する人も多かったのではないか。
逆に、今決断すれば、ヴァイラー監督の招聘から現在までのクラブの方針を否定することにもつながりかねない。責任も追及される。普通の人の日常でもときどきある、「これを言うと自分の首絞めそうだから黙っておこう」というシチュエーションだ。
それなのに今回の「決断」したというのは過去の鹿島の決断と非常に似ており、それはつまりメルカリに経営陣が代わっても、ジーコが退任しても、鈴木氏が強化アドバイザーになっても、「鹿島らしさ」は十分に残っているという証ではないだろうか。
逆に言えば、もしこの「決断」が当たれば、鹿島の「メルカリ新体制」「吉岡宗重FD」の能力が高く評価されることになる。41歳の小泉文明代表取締役社長も44歳の吉岡FDも「判断力に秀でている」と認められるだろう。
ということで、この鹿島の監督交代、あえて逆張りしても面白いと思うんです。
森 雅史
もり・まさふみ/佐賀県出身。週刊専門誌を皮切りにサッカーを専門分野として数多くの雑誌・書籍に携わる。ロングスパンの丁寧な取材とインタビューを得意とし、取材対象も選手やチームスタッフにとどまらず幅広くカバー。2009年に本格的に独立し、11年には朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の平壌で開催された日本代表戦を取材した。「日本蹴球合同会社」の代表を務め、「みんなのごはん」「J論プレミアム」などで連載中。