「光を照らしたい」 京川舞はどうバセドウ病と向き合ったのか、海外挑戦に込めた同じ闘病者への想い

京川の姿は病気で苦しむ同じ境遇の人々に勇気を与えるはずだ【写真:©Saskia Nafe】
京川の姿は病気で苦しむ同じ境遇の人々に勇気を与えるはずだ【写真:©Saskia Nafe】

新天地ポツダムで目指すは女子CL出場

 海外挑戦は自身の夢のためであると同時に、病気で苦しむ同じ境遇の人々に向けた京川なりの“道しるべ”でもある。闘病生活中、京川の元にはSNSを通じて「応援しています」「実はうちにも同じ境遇の子がいます」といった多くのメッセージが寄せられ、「自分も頑張らなきゃ」と背中を押してもらった。だからこそ、自分の存在で勇気を与えられたら、と願う。

「バセドウ病と調べたら、『サッカー選手・京川舞』が出てきて、京川舞がこういう人生、選手キャリアを歩んでいったと少しでも道を示すことができたら、同じ境遇の方のプラスになるはず。大好きなサッカーを通じて光を照らしていきたいし、私自身、この病気と向き合いながらやっていくだけです」

 今の京川には、確固たる目標がある。「(UEFA)女子チャンピオンズリーグに出たい」。今年4月22日にカンプ・ノウで行われた女子チャンピオンズリーグ準決勝第1戦のFCバルセロナ対ヴォルフスブルク戦で、女子サッカー史上最多入場者数となる9万1648人を記録した光景が頭に焼き付いている。

「カンプ・ノウに9万人以上。あの光景には、画面越しでも鳥肌が立ちました。自分がピッチに立って、あの緊張感の中でどんなプレーができるのか。憧れというか、チャンピオンズリーグの舞台でサッカーをしたいです。スペイン、イタリアにも挑戦してみたい思いはありますけど、まずはポツダムでチャンピオンズリーグ出場を目指してこの2年間やるつもりです。病気も乗り越えて、今は運も良くなっているのかなって(笑)。それくらいポジティブに前に進んでいるので、これからの1年間、成長を見守っていただけたら嬉しいです」

 どんな試練にも屈することなく立ち向かう京川の姿は、きっと多くの人々に勇気とエネルギーを与えるに違いない。

[プロフィール]
京川舞(きょうかわ・まい)/1993年12月28日生まれ、茨城県出身。常盤木学園高―INAC神戸レオネッサ―1.FFCトゥルビネ・ポツダム。WEリーグ通算4試合0得点、日本女子代表通算5試合0得点。卓越したゴール嗅覚、裏への抜け出しを武器に、センターフォワード、トップ下、ウイング、サイドハーフとマルチにこなす万能アタッカー。2021年5月にバセドウ病と診断されたことを発表。長い闘病生活を乗り越えて今年4月にピッチへ戻り、新シーズンからはドイツで初の海外挑戦に挑む。

(FOOTBALL ZONE編集部・小田智史 / Tomofumi Oda)

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