ドイツで感じた海外選手の「オーラ」 京川舞、ポツダム移籍で誓う“10年間”の経験の還元
ポツダムではトップ下、サイドで試行錯誤中
京川は2021年5月、バセドウ病(甲状腺機能亢進症)と診断されたことを公表。長い闘病生活に入ったが、無理のない範囲でフロントの仕事も手伝っていた。スカウティング映像を作る業務にも携わっていた延長上で、ふと編集していた自身のゴール動画がその後の海外移籍の道を切り拓く。
「ずっと海外でプレーしたいと思っていました。でも、コロナ禍とか病気(バセドウ病)の関係でタイミングを逃してしまって。そのなかで、YouTube用に自分の動画を作っておいたら、興味を持ってくれる海外のチームに見てもらって(トライアウトに)呼んでもらえるチャンスもあるなと考えて、INACのトレーナーさんと相談して準備していました。そこからエージェントの方に動画を正式に投げてもらい、オファーをいただきました。やっとチャンスが来たという感じです」
最初にオファーが来たドイツ女子1部のポツダムを新天地に選択した京川。7月上旬に渡欧し、すでに2部練習やトレーニングマッチを重ねている。トップ下やサイドでのプレーをテストするなかで、プレーの自由が与えられているという。
「今のところは『自由にやっていい』と言われていて、トップ下をやったり、サイドをやったり、チームとしても試行錯誤をしている段階です。ポツダムの中では、どちらかと言うと自分は器用なほうかもしれません(笑)。どのポジションでも、最後は2列目とか見えないところからゴール前に入っていくので、ストライカーとしてやってきた日本の感覚は生かせる。FWにこだわっているというよりは、引き出しを増やせるという意味では、フィニッシャーでも、パサーでも、どんどんトライしていきたいと思います」
常盤木学園高を卒業後、INAC神戸一筋10年でプレーしてきた京川。自身初の移籍が、過酷な海外挑戦となったが、「私は新しい環境に飛び込むのも得意なほうだと思います」と笑顔で語る。
「海外はテクノロジーがより発達している印象です。私はまだ、英語とドイツ語で自分の考えを上手く伝えられないところがありますけど、iPhoneですぐに翻訳してコミュニケーションを取っています。ドイツ出身で(2021-22シーズン途中に)INACに来たGKスティーナ(・ヨハネス)選手は通訳を介しながら会話をしていたので、何で対応するかの違いも面白いですよね。
もちろん、日本とドイツでサッカーの違いも感じます。海外の選手は、自分に自信を持ってプレーするのがすごく上手。仮に粗削りだとしても、上手く見せてメンタルでゴールを決める。立ち姿、オーラは日本にはない、ドイツならではの要素だと思います。目つきが鋭くて、最初はそこに圧倒されてしまいました(苦笑)。でも、上下関係のない、1人の選手としてポツダムにいる感覚があるし、サッカーで会話ができるのがすごく楽しいです」