前回V・青森山田が敗退&名門・帝京が躍進 高校サッカー総体、“波乱”の印象も実は「順当な大会」

2回戦では青森山田と提供が激闘を繰り広げた【写真:FOOTBALL ZONE編集部】
2回戦では青森山田と提供が激闘を繰り広げた【写真:FOOTBALL ZONE編集部】

前橋育英の優勝で幕を閉じた高校サッカーインターハイを総括

 徳島県で行われた令和4年度の全国高校サッカーインターハイ(総体)は、前橋育英(群馬)の12大会ぶり2度目の優勝で幕を閉じた。前回王者・青森山田(青森)が2回戦で姿を消し、名門・帝京の躍進も話題となった高校総体を、“波乱の大会”と呼ぶのはふさわしかったのか。

 今大会を改めて振り返ると、予想外の新鋭が勝ち上がったというよりも、ある程度の実力を持ったチームが上位に進出した印象だ。特に帝京(東京1)が青森山田を下したことは大きな話題になり、「大番狂わせ」との声も挙がったが、今年の帝京はむしろ、期待値のほうが高かった。昨年のレギュラーを多数擁し、プリンスリーグ関東では2位につけるなど、全国の頂点を十分狙えるだけの力を持ったチームだった。

 帝京といえばかつて、選手権やインターハイで好成績を収めてきた名門校。近年は低迷していたため今大会を準優勝で終えたことに驚きを覚えるかもしれないが、ここ数年はプリンスリーグ関東昇格、2年連続でのインターハイ出場と着実に力をつけてきていただけに、この躍進はそれほど驚くものでもなかった。

 実際、2回戦で実現した前回王者・青森山田との試合は激闘だった。青森山田はパワーを前面に押し出しながらも個々の技術レベルも高く、パワーで行くと見せかけてパスとドリブルを駆使し、鮮やかな崩しから先制に成功。それでも帝京は気落ちすることなく、ボールを握りながら、2トップの破壊力でねじ伏せるサッカーをやり続け、ほぼ互角の内容で逆転勝利を果たした。

 ベスト4の顔ぶれを見ても、帝京、プレミアリーグEASTで4位に付ける前橋育英、プリンス関東首位の昌平(埼玉)、前回大会準優勝でプリンスリーグ中国1位の米子北(鳥取)と、どれも頂点にふさわしいチームだった。まさに「来るべくして来た」チームが4強を占めたと言える。

 プレミアリーグが創設されるまでは、全国トップクラスのチームが優勝したり、上位に進出したりするケースが多かった。それがプレミアリーグ創設後、1年を通した90分ゲームが定着したことで、前後半トータル70分と通常より20分も短く、引き分けであれば即PKとなってしまうレギュレーションは、ハイレベルな相手と90分の戦いを続けて来たプレミア勢やプリンス勢を大いに苦しめ、インターハイは番狂わせが起こりやすい大会に変化した。

 だが、強豪校が徐々に70分と90分の戦い方の違いに適応できるようになり、猛暑によるクーリングブレイク制度(前後半の中間に設けられた5分間の休憩時間。飲水タイムと違いピッチ上ではなく、ロッカールームに下がってユニフォームを脱いで身体を冷やしたり、指示を仰いだりすることができる)が設けられてからは様相が一変。より戦術的な意思統一ができる状態で戦えるようになり、実力校が勝ち上がる大会に戻った。

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