勝てないリバプールのロジャーズ監督の苦悩 「負けるに値しないが勝つにも十分でない」

内在する攻撃の問題

 昨季は、最前線のウルグアイ代表FWルイス・スアレス、イングランド代表FWダニエル・スターリッジのSASコンビが相手のDFラインを下げ、中盤にスペースが生まれた。それによってボールを流動的に動かすことが可能であった。しかし、今季は、攻撃陣が脅威となっていないため、相手最終ラインは高い位置に保たれてしまっている。それにより中盤に十分なスペースを生み出せなくなっているのだ。
 この試合でも前半の半ばから中盤でスペースを見いだせなくなっていた。前線のバロテッリが左サイド、スターリングが右サイドに張ってしまい、中央にボールを収めるターゲット不在が続いたことが要因だろう。象徴的だったのは、今試合最大の決定機の場面。後半12分、ジェラードからのクロスに合わせたのはコウチーニョで、その際にボックス内にいたのも彼だけであった。
 さらに、攻撃的な中盤の選手たちが低い位置まで下がってボールを受ける場面が多く、チャンスメイクが困難な状況に陥っている。まずは相手DF陣のラインを下げることが先決であり、その解決策には、現段階ではやはりスターリッジの帰還を待つ以外にないだろう。スターリッジの質の高い動きによって、バロテッリが高い位置で前を向く場面も増えてくるはずだ。持ち味の強烈なシュートは、得点に直結しなくとも、「リバプールの攻撃陣は迫力を取り戻した」という意識を相手に植え付けさせるはずだ。少なくとも、そういったディティールが現在のレッズに最も欠落している点である。
 10節を終えて4勝2分4敗と苦境に立たされている中、今週火曜日に欧州チャンピオンズリーグ・グループステージ第4節を行うため、白い巨人の待つサンティアゴ・ベルナベウへと足を踏み入れる。
【了】
サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

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