実質13人の川崎は強行開催に臨まなければならなかったのか 浦和戦はリーグの価値が問われる一戦に

逆転の3連覇へ―望みをつなぐ

 一方で川崎側も過渡期に差し掛かっており、特に攻撃面で目標とする「1試合3点」に届きそうな武器や迫力が見られない。レアンドロ・ダミアンは間違いなく傑出した存在だが、守備網を簡単に切り裂く三笘薫や、どこからでも局面を一変させる中村憲剛や田中碧が去った今、首位を走る横浜F・マリノスと比べてしまえばスピードや選手層では後手に回っている印象だ。ただし反面常時重要な駒が欠け落ちた状態でも、まだ3連覇の可能性が残る位置につけているのも事実だ。谷口彰悟主将は言った。

「諦めたら、その瞬間に可能性は消える」

 取り巻く状況はどん底に近いが、次週横浜FMとの直接対決次第では、まだ土壇場の大どんでん返しの可能性も皆無ではない。

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加部 究

かべ・きわむ/1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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