G大阪戦疑惑のPKはノーファウルが適正 ネイマールはなぜレフェリーを欺き続けることができるのか、元主審・家本政明氏が語るダイブの高等技術

ネイマールのダイブは見極めるのが困難

「コンタクトがあったのかについてですが、中継映像ではコンタクト有無がよく分からなかったのですが、SNSに上がっている映像を見る限り、コンタクトはあります。反則となるコンタクトだったのか、についてですが、コンタクトはとても小さくて軽いものです。反則と見せかけていないかという部分については、そのコンタクトのわりに反応はとても大きいと感じます。ですので、不用意な反則と言えなくはないです。ただ、個人的にはいわゆるダイブの類と判断しますので、ノーファウルで良かったと思います」

 家本氏は、PKではなくノーファウルの判定が適正との見解を述べた。

 ネイマールと言えば、華麗なドリブル突破とともに、接触プレーで大袈裟に倒れるシミュレーションも広く知られている。なぜレフェリーを欺き続くことができるのか?

「ネイマール選手の場合、過剰な演技というよりも、巧みな表現という言い方のほうが合っていると思います。彼のそういった行為にはオーバーに感じる時と、かなり自然に感じる時があります。ですので、ダイブの見極めはとても難しく、審判の見る場所によって見え方や感じ方はかなり変わります」と分析した家本氏。仕掛けから倒れ込むまでのアクションは、レフェリーにとってもあまりに自然でダイブの見極めるのが困難だという。

「彼がもっと若い頃は、オーバーリアクションなものが多かったので、ダイブしたなというのがすぐ分かったのですが、この頃はかなり自然な感じになりました。個人的には、ダイブは勝つための戦術の1つであるとはいえ、正々堂々と戦ってるとは言えない行為なので好きではありません。ただ、コンタクトを利用して、さも反則を受けたかのように見せる技術はとても高いと思います」

 キャリアを重ねるにつれて、ダイブという技術の洗練度が高まっているネイマール。レフェリーがネイマールのようなプレーに欺かれないためにはどうすべきなのか。

「ポイントは最初に言った3点。コンタクトの有無、コンタクトの程度、ダイブの可能性です。そのためには、クリアな視野、いい角度、適切な距離を確保すること。そしてできるだけ静止して監視すること。2番目は先入観を持って見ないこと。最後は勇気を持ってノーファウルと決断することです。難しい部分は、軽いコンタクトでもタイミングや体勢によって反則となることもあります。その見極めは相当難しく、本当に反則なのか、悪意を持って反則をもらおうとしているのか、はっきりしないことも多いです」

 現在スポーツチャンネル「DAZN」の判定検証番組「Jリーグ ジャッジリプレイ」でも活躍する家本氏は、8月7日のJ1リーグ第24節の川崎フロンターレ対横浜F・マリノス戦で「家本政明LABO」というオンライン同時視聴イベントを開催することが決定。国内外のトップレベルの試合を700回以上担当してきた元プロフェッショナルレフェリーならではの視点による解説、そして、質疑応答も楽しめるというこれまでになかった新たなスタイルのサービスにも注目が集まる。

■【オンラインイベント情報】

元プロフェッショナルレフェリー家本政明が主催する「家本政明LABO」
J1リーグ第24節「川崎フロンターレ vs 横浜F・マリノス」
オンライン配信イベント「ぶっちゃけLABO」

家本氏が独自のレフェリー視点でリアルタイム解説!
皆様の意見・質問に対して、「忖度ゼロ、NGなし」のぶっちゃけ回答!

開催日時
8月7日(日)夜6時55分ライブ

イベント詳細
[ftp_del] https://iemotolabo.base.shop/items/65263326[/ftp_del]

page1 page2 page3

家本政明

いえもと・まさあき/1973年生まれ、広島県出身。同志社大学卒業後の96年にJリーグの京都パープルサンガ(現京都)に入社し、運営業務にも携わり、1級審判員を取得。2002年からJ2、04年からJ1で主審を務め、05年から日本サッカー協会のスペシャルレフェリー(現プロフェッショナルレフェリー)となった。10年に日本人初の英国ウェンブリー・スタジアムで試合を担当。J1通算338試合、J2通算176試合、J3通算2試合、リーグカップ通算62試合を担当。主審として国際試合100試合以上、Jリーグは歴代最多の516試合を担当。21年12月4日に行われたJ1第38節の横浜FM対川崎戦で勇退し、現在サッカーの魅力向上のため幅広く活動を行っている。

今、あなたにオススメ

トレンド

ランキング