「覚悟が決まった」選手ミーティング チームを奮い立たせた反骨心 稲本潤一が回想する南アフリカW杯の舞台裏

控えだった稲本潤一(右)はチームの雰囲気作りに徹した【写真:Getty Images】
控えだった稲本潤一(右)はチームの雰囲気作りに徹した【写真:Getty Images】

ベテランの川口能活や楢﨑正剛、中村俊輔らとチームを盛り上げる

 岡田監督は5月30日にオーストリアのUPCアレーナで開催されたイングランドとの国際親善試合(1-2)で、阿部勇樹をアンカーに置く4-1-4-1システムに変更。GKを楢﨑正剛から川島永嗣(現・ストラスブール)に代え、ゲームキャプテンも中澤佑二から長谷部誠(現・フランクフルト)に切り替えた。W杯前最後のテストマッチとなったコートジボワール戦では従来の4-2-3-1に戻して0-2と完敗を喫し、最終的に遠藤保仁(現・ジュビロ磐田)と長谷部誠(現・フランクフルト)のコンビを崩さずに阿部勇樹をその背後に配置することで守備力を高め、本田圭佑を0トップとして最前線でプレーさせる形に落ち着いた。指揮官からは、「システムが変わるだけで、コンセプトが大きく変わるわけではない」と説明があったという。

 そして、グループリーグ初戦のカメルーン戦の勝利(1-0)が生まれ、勢いに乗った岡田ジャパンは2002年の日韓大会以来となる決勝トーナメント進出を果たすことになる。稲本はカメルーン戦とグループリーグ第3戦のデンマーク戦(3-1)で試合終盤に起用されたのみだったが、過去2大会の経験を生かして盛り上げ役に徹した。

「(川口)能活さんが岡田監督との懸け橋になってくれていて、ほかにも(楢﨑)正剛さん、途中からレギュラーを外れた(中村)俊輔、(中村)憲剛とか、年齢が上の選手が率先してしっかり練習して、声出しとかで盛り上げていました。南アフリカ大会は、若い選手たちが台頭してきたチーム。例えば、(本田)圭佑は、日韓大会の僕と同じような感じで、チームのことはもちろんですけど、より個人にフォーカスして試合に臨んでいた印象で、それがいいほうにつながった。彼らを試合により集中させるというか、モチベーションを高く保たせようと雰囲気作りは意識していました。(グループリーグ初戦の)カメルーンに勝てたことは大きかったですけど、仮にもし負けていたとしても、そこでしっかり盛り上げて、チームの士気を下げないようにしようと考えていましたね」

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