韓国戦で見えたチームの“一体感” 日本代表OBが称賛「森保監督のマネジメント力が発揮された」
【専門家の目|金田喜稔】象徴的だった「韓国戦の日本ベンチの雰囲気」
森保一監督率いる日本代表は7月27日、豊田スタジアムで開催のE-1選手権第3戦で韓国代表と対戦。宿敵に3-0と勝利し、2013年大会以来2度目の優勝を決めた。「天才ドリブラー」として1970年代から80年代にかけて活躍し、解説者として長年にわたって日本代表を追い続ける金田喜稔氏は、大会を通じて「短期間でチームに一体感をもたらす森保監督のマネジメント力が発揮された」と称賛している。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)
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国内組で構成された今大会の日本代表は、初戦で香港に6-0と快勝。続く中国戦は0-0と引き分け、優勝には勝利が求められる状況で韓国との大一番を迎えた。引き分けも許されない試合では、日本が序盤から積極的な姿勢を見せると、後半にMF相馬勇紀(名古屋グランパス)、DF佐々木翔(サンフレッチェ広島)、FW町野修斗(湘南ベルマーレ)がゴールを決めて3-0と勝利。試合後には日本の選手やスタッフらが歓喜に沸いた。
今大会を振り返った金田氏は、「第2戦の中国戦では、交代策やサイドの組み合わせなど疑問に思うところがあったのは事実」と森保監督の采配に言及。その一方、「ただ、今大会は初招集組も多いなか、短期間でどうチームを作り上げるか、そして新戦力の発掘が焦点だった。ピッチ内外でチームの雰囲気が垣間見え、チームが一丸となっているのが分かるシーンもあった」と続ける。
金田氏が注目したのはベンチメンバーの様子だったという。とりわけ、優勝が懸かった韓国戦での“一体感”に感銘を受けたと語る。
「象徴的だったのが、韓国戦の日本ベンチの雰囲気だ。選手の一喜一憂のアクションを見た時、優勝に懸ける思いがひしひしと伝わってきた。危ないシーンを防げば、ベンチメンバーも一緒になって盛り上げ、時にベンチから飛び出し、みんなで一体となってチームを盛り上げていた」
韓国戦でゴールが決まるたびに沸く日本ベンチ。まさにチームが一丸となって手にしたタイトルだった。「そうした雰囲気は、選手たちだけで作れるものではなく、監督やスタッフらを含めたうえで作られるものだ。そういう意味では、短期間でチームに一体感をもたらす森保監督のマネジメント力が発揮されたと言ってもいい」と称えている。
11月にカタール・ワールドカップ(W杯)を控える日本代表は、9月の欧州遠征でアメリカ(23日)、エクアドル(27日)と対戦。そして11月23日のドイツ戦、同27日のコスタリカ戦、12月1日のスペイン戦と本大会に突入するなか、一体感をもたらす指揮官のマネジメント力に金田氏は期待を寄せていた。
金田喜稔
かねだ・のぶとし/1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。