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稲本潤一が明かすドイツW杯の真相 日本代表「黄金のカルテット」が輝かなかった理由…“足りなかった力”とは?
選手同士の“意見のぶつかり合い”は「決して悪いことではなかった」
稲本はオーストラリア戦では出番がなく、続くクロアチア戦もベンチスタート。同じく控えに回った小野とアップをしながら「腐らずにしっかりやろう」「(試合に)出たら仕事をしよう」と鼓舞し合っていたが、試合に出られない悔しさを押し殺すことはできなかったと明かす。
「2002年の日韓大会のように、ゴンさん(中山雅史)、秋田(豊)さんがいたらまた違ったかもしれません。僕自身、試合に出られないもどかしさはあったし、自分が前に出てプレーしたいというメンバーが多かった印象なので、全員がチームのことを考えて戦えていなかった。今振り返ってみても、メンバー的にはすごく強いチームだと思います。いい選手が集まっているけど、それだけだとやっぱり勝てないんだなというのが分かった大会だったかなと。ベテランの存在は必要だと痛感しました」
個性派が揃ったチームは、キャンプ中から主将の宮本恒靖を中心に選手ミーティングを開いて1人1人の意見を出し合い、ぶつかることもあった。福西崇史と中田英寿が激しく言葉をかわすシーンは、稲本の記憶にも残っているという。
「お互いに(オーストラリア戦に)スタメンで出ていて、ディフェンスの位置、仕方で口論になった感じ。“やり合った”みたいに過度に言われているだけで、決して悪いことではなかったと思います。サブ組だった僕とか伸二は、どうアピールするか、練習から結構バチバチ行っていた。やっぱりみんな試合には出たいですし、しのぎを削るなかで、そんなに力の差があるとは思っていなかったですから。殺伐とした紅白戦をやった記憶があります(笑)」
2試合を終えて、1分1敗でグループリーグ最下位。日本が決勝トーナメントに進出するためには、最低2点差以上の勝利が必要という厳しい状況で第3戦のブラジル戦を迎えた。“怪物”ロナウド、“天才”ロナウジーニョ、名手カカらワールドクラスのタレントを擁する王国から、前半34分に玉田圭司の強烈な左足シュートで先制点を奪ったが、ここからブラジルのギアが一気に上がり、最終的に1-4と完敗を喫した。
「自力でのグループリーグ突破の可能性が残っていたので、(ブラジルの攻撃を)耐えて耐えての先制点で『行けるぞ!』という雰囲気になりました。ただ、そこはさすがブラジルというか、前半終了間際にきっちりと1点を返されて追い付かれた時は気持ち的に少し厳しかったです」