なぜ太田宏介は地元・町田に“帰還”を決めたのか 変わりゆく「夢」と恩返しへの想い

FC町田で育った太田宏介が20年ぶりに町田へ“帰還”【写真:(C) FCMZ】
FC町田で育った太田宏介が20年ぶりに町田へ“帰還”【写真:(C) FCMZ】

【インタビュー】日本復帰を決めていたなかで恩師ポポヴィッチ監督からオファー

 日本代表経験を持つ35歳のレフティーが、地元・町田へ20年ぶりに帰ってきた。DF太田宏介はなぜこのタイミングでオーストラリアを離れ、J2のFC町田ゼルビアへの移籍を決めたのか。新天地でのホームデビューを前に、胸の内を明かしてもらった。(取材・文=石川 遼)

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 太田は2006年に横浜FCでプロデビューし、清水エスパルス、FC東京と渡り歩き、2016年にはオランダ1部フィテッセで欧州にも挑戦。その間に日本代表デビューも飾るなど、順調にキャリアを積み上げていった。オランダでの挑戦を1年で切り上げてFC東京へ復帰したあとも名古屋グランパス、そしてオーストラリア1部パース・グローリーと移籍を繰り返した。

 30歳を超えてオーストラリアへ移籍したのは本人も全く考えていなかったキャリアだったが、経験を重ねるなかで選手として叶えたい「夢」は少しずつ形を変えていった。パース・グローリーでのプレーを最後に、現役生活に終止符を打つ選択肢もあったというなかで、浮かんできたのが町田のことだった。

 いつかは町田で——。そうした想いは太田の中で新たな夢としてやおら形を成し、FC東京時代の恩師でもあるランコ・ポポヴィッチ監督の存在も後押しとなって加入が決まった。現在リーグ戦7位(12勝6分11敗)につけ、J1昇格も射程圏内に入れる町田にとってはこれ以上ない補強となる。

「オーストラリアでは2シーズン過ごして、自分の中で満足していました。契約はあと1年残っていましたけど、このタイミングで日本に帰ろうというのは決めていました。(町田は)僕が小学校、中学校で所属していたクラブで、トップチームの動向は常に追いかけていました。ほかのクラブにいた時も、地元に帰った時にゼルビアの試合があればチケットを買って、野津田まで見に行っていました。移籍はいろいろな偶然が重なるもの。僕が育った町田で、恩師であるポポさんがオファーをくれるなんて本当に“今しかない”タイミング。話をもらった時には条件とか関係なく、絶対に行きたいと正直な想いを伝えました」

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