W杯への“合格証書”の行方 E-1選手権メンバー26人を査定、「Aランク」昇格をアピールしたのは?
再開するJリーグでさらなるアピールが必要
では、この「B」から誰が「A」に昇格しそうか、を考えてみましょう。
有力なのは、怪我人が出て薄いポジション、つまり大迫勇也と酒井宏樹の代わりになる町野修斗(湘南ベルマーレ)と小池龍太(横浜F・マリノス)じゃないでしょうか。そこにフリーキック(FK)からのゴール、コーナーキック(CK)からのアシスト、ヘディングでのゴール、3得点の決定力と、ドリブル以外の武器も見せた相馬勇紀(名古屋グランパス)が絡んできそうです。
そして、実は今回「A」入り濃厚になった選手が1人います。それはGK谷晃生(湘南ベルマーレ)。GK3人枠は、ほぼ確定している権田修一(清水エスパルス)、川島永嗣(ストラスブール)以外の1人を谷とシュミット・ダニエル(シント=トロイデン)、大迫敬介(サンフレッチェ広島)が争っている形です。そのうち、シュミットが出場した6月14日のキリンカップ決勝チュニジア戦では3失点、そして今回は谷が韓国戦で決定機1回を防ぎました。谷のプレゼンスが向上しています。
ただし、これで「B」以下が切り捨てられるかというと、そうではありません。新型コロナウイルスの影響がある今年の大会は多くの選手を視野に入れて、急きょ入れ替えしなければいけない可能性に対応しなければなりません。ですから、今後の「伸び」によっては入ってくることもあるでしょう。
フィールドプレーヤーで最年少の藤田がW杯メンバー入りするための条件を、森保監督は「(守備では)ボールを奪い切る、相手を止める力をつける」「(攻撃では)展開力、より効果的にボールを動かせる中継役として成長」と語っていました。つまり、この課題をクリアすればメンバー入りすることになります。
もっとも、これがW杯で先発を飾ろうと思うと、「A」の上の「S」までいかないとダメなはず。そして、「S」には海外組や帰国組の経験豊富な選手がひしめき合っています。
つまりE-1選手権には優勝したけれど、今回招集された選手たちは一息つく暇もなくアピールし続けないと、W杯への合格証書は手に入れられそうにないということなのでした。まだまだ暑くて熱い夏は続きます。
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森 雅史
もり・まさふみ/佐賀県出身。週刊専門誌を皮切りにサッカーを専門分野として数多くの雑誌・書籍に携わる。ロングスパンの丁寧な取材とインタビューを得意とし、取材対象も選手やチームスタッフにとどまらず幅広くカバー。2009年に本格的に独立し、11年には朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の平壌で開催された日本代表戦を取材した。「日本蹴球合同会社」の代表を務め、「みんなのごはん」「J論プレミアム」などで連載中。