韓国は「勝つ気が感じられなかった」 日本代表OBが因縁の日韓戦で勝負の分かれ目に挙げたのは?
【専門家の目|栗原勇蔵】中国戦の反省を生かし、相馬の先制点から一気に畳みかけ
森保一監督率いる日本代表は、7月27日に行われたE-1選手権第3戦で韓国に3-0で勝利し、2013年大会以来の優勝を果たした。元日本代表DF栗原勇蔵氏は、勝負を分けたポイントとともに、韓国に本来の気迫が感じられなかったことを指摘している。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)
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日本は初戦の香港戦(6-0)同様、韓国戦でも横浜F・マリノスの選手をベースに起用。DF畠中槙之輔、DF小池龍太、MF岩田智輝、MF藤田譲瑠チマ、MF水沼宏太、FW西村拓真がスタメンに名を連ねた。
序盤からリズムを掴んだ日本だったが、前半はゴールを奪えず。しかし、後半4分に藤田のクロスをMF相馬勇紀(名古屋グランパス)がヘディングで合わせて先制点を奪うと、同19分には相馬のコーナーキックをDF佐々木翔(サンフレッチェ広島)がヘディングシュートで仕留めて2点目。後半27分には、西村→小池→FW町野修斗(湘南ベルマーレ)の連係弾でダメ押しの3点目を挙げてゲームを決めた。
7月24日の中国戦では主導権を握りながら0-0のスコアレスドロー。前戦と違う結果を生み出せた要因について、元日本代表DF栗原氏は「先制点」の大きさを挙げた。
「いい形で先制点を取れて、そこから日本のほうが気持ちで上回ったと思います。マリノスを中心としたサッカーが機能していた。相馬のゴールの場面は、藤田がボールを持って、フリーでセンタリングを上げられた。プレッシャーがなかったというのはあるかもしれないですけど、いいボールが出て、相馬もいい動きで、難しいヘディングをしっかり決めた。韓国は引き分け以上で良かったので、守備の強度が増す前のあの時間帯にゴールできたのは大きかったです。あのゴールがなかったら、どちらに転んでいたか分からない」
日韓戦はこれまでの歴史を振り返っても、激しい戦いが繰り広げられてきた。この日はボール支配率こそ日本が43.1%対56.9%と下回ったが、シュート数は14対4と大差をつけ、被枠内シュートも1本のみと内容は圧倒したと言っていい。
現役時代に日韓戦を経験している栗原氏は、「正直に言えば、韓国は本当に勝つ気があるのかなと思いました。点を取られても前に行く雰囲気がなくて、これでいいのかなと逆に心配してしまうくらい。日本のほうが間違いなく気持ちが入っていた。ピンチはGK谷(晃生)が好セーブでしのいだシーンくらいで、ミスも多いし、気持ちも感じられなかった。そういう状況にさせたのは日本の選手かもしれないですけどね」
また、国内組だけで臨んだE-1選手権で優勝を果たした森保監督については、「優勝は評価に値すると思います。森保監督のマリノス勢を使う采配も当たったので」と栗原氏は称えていた。
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栗原勇蔵
くりはら・ゆうぞう/1983年生まれ、神奈川県出身。横浜F・マリノスの下部組織で育ち、2002年にトップ昇格。元日本代表DF松田直樹、同DF中澤佑二の下でセンターバックとしての能力を磨くと、プロ5年目の06年から出場機会を増やし最終ラインに欠かせない選手へと成長した。日本代表としても活躍し、20試合3得点を記録。横浜FM一筋で18シーズンを過ごし、19年限りで現役を引退した。現在は横浜FMの「クラブシップ・キャプテン」として活動している。