「サッカーを学んで成長している」 日本代表OBが中国の“ラフプレー”に見解「昔ほど荒くない」
【専門家の目|栗原勇蔵】前半19分の森島へのタックルは「危険」も、それ以外のハードチャージは妥当の部類
森保一監督が率いる日本代表は、7月24日に行われたE-1選手権第2戦で中国と対戦し、0-0の引き分けに終わった。MF森島司(サンフレッチェ広島)やFW宮市亮(横浜F・マリノス)が中国の激しいプレーに傷むシーンもあったが、元日本代表DF栗原勇蔵氏は「昔のほうが確実に荒い」と冷静に分析している。
日本は7月19日の香港戦で6-0と勝利。中国戦はGK大迫敬介らサンフレッチェ広島の選手を5人スタメン起用する陣容で臨んだ。
日本は宮市が右サイドで果敢にドリブル突破を仕掛けるなど、中国ゴールを脅かす展開。そのなかで前半19分、ボールを持ったMF森島に対して、中国DFハ・ユーポンが激しいタックルをお見舞い。削られた森島はピッチに倒れ込み、ガミニ・ニボン・ロベシュ主審はハ・ユーポンに対してイエローカードを提示した。
日本の攻勢が続くなか、前半38分には再び中国の選手の激しいプレーが飛び出す。宮市がスルーパスに反応して抜け出すと、食らい付くDFウー・シャオツンのほかに、キャプテンのDFチュー・チェンジェも猛スピードでゴールライン際へカバーに入り、そのままで宮市と交錯。宮市は接触でピッチに倒れ込み、しばらく動けなかった。
後半4分には宮市がカウンターを発動して縦に仕掛けようとしたところを、中国MFファン・ジャフェイがうしろから引っかけてファウル。チーム2枚目のイエローカードとなった。
日本はボール支配率65.4%対34.6%、シュート数20対4と中国を圧倒したが、最終的にゴールを割れず、0-0のスコアレスに終わった。
中国のラフプレーにはSNS上でも厳しい声が上がったが、現役時代に実際に中国と対戦した栗原氏は、「(ラフプレーは)昔ほどじゃない」と見解を述べた、
「森島にタックルを仕掛けた選手は、『なんでファウル?』という顔をしていたので、ラフプレーは根強く残っているなと。普通に考えれば危険で、あれくらいは当たり前だというプレーを中国はやっている。でも、昔のほうが確実に荒い。森島に対するプレー以外は、許容の範囲。中国もサッカーを学んで成長していると思います」
ラフプレーに該当する動きもあったが、それが結果に影響を及ぼしたわけではないと冷静に分析していた。
栗原勇蔵
くりはら・ゆうぞう/1983年生まれ、神奈川県出身。横浜F・マリノスの下部組織で育ち、2002年にトップ昇格。元日本代表DF松田直樹、同DF中澤佑二の下でセンターバックとしての能力を磨くと、プロ5年目の06年から出場機会を増やし最終ラインに欠かせない選手へと成長した。日本代表としても活躍し、20試合3得点を記録。横浜FM一筋で18シーズンを過ごし、19年限りで現役を引退した。現在は横浜FMの「クラブシップ・キャプテン」として活動している。