PSGに6万人、J1に5万人、日本代表に5000人…歴然とした人気格差 “満員終焉”は日本サッカーが成熟した証と言える
日本代表と名が付けば、どんな試合でも満員になる時代はとうに終わっている
PSGと日本代表の人気の格差をネガティブに捉えることもできるが、日本のファン拡大のためにはポジティブな面のほうがはるかに大きいのではないかと思う。メッシ、ネイマール、ムバッペの凄さに触れた人々の何割かはサッカーファンになる。
メッシのファンになったとしても、メッシだけを見続ける人はほぼいないのだ。必ずサッカー自体を見るようになる。そこからJリーグに行く人もいるだろうし、日本代表を応援する人もいるかもしれない。メッシを入口にマンチェスター・シティにたどり着く人がいても不思議ではない。
第19節の清水エスパルスvs横浜F・マリノスには5万6131人が入っている。Jリーグの人気が低迷しているわけではない。その横浜FMの選手が5人も先発出場した香港戦が5000人以下だったのは、ネームバリューでPSGにかなわないだけでなく、横浜FMの試合ではないからだろう。
Jリーグのファンはチームを応援していて、同じ選手でも日本代表としてプレーするならさほど興味がないのかもしれない。それはそれでサッカーの見方として健全ではある。日本代表と名が付けば、どんな試合でも満員になる時代はとうに終わっている。
PSGに6万人、国立のJ1に5万人、そしてE-1の代表戦に5000人というのは、日本のサッカーがそれだけ成熟した証と言えるのではないか。
(西部謙司 / Kenji Nishibe)
西部謙司
にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。