日本代表OBが森保ジャパンの2選手に感銘 異なる“日の丸ストーリー”は「心にぐっとくるし、感慨深い」
【専門家の目|金田喜稔】「水沼宏太の父親とは共闘した仲で、個人的な縁もある」
森保一監督率いる日本代表は、7月19日に茨城県立カシマサッカースタジアムで行われたE-1選手権初戦の香港戦に臨み、6-0と圧勝した。「天才ドリブラー」として1970年代から80年代にかけて活躍し、解説者として長年にわたって日本代表を追い続ける金田喜稔氏は、「異なる道を歩んできた2人」の“日の丸ストーリー”に触れ、「心にぐっとくるものがあるし、感慨深い」と語っている。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)
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香港戦ではFW相馬勇紀(名古屋グランパス)、MF西村拓真(横浜FM)、FW町野修斗(湘南ベルマーレ)が2ゴールずつを挙げ、6-0と快勝した。金田氏は「ストーリーを持った選手が代表で出場する姿を見ると、心にぐっとくるものがあるし、感慨深い」と語り、2人の名前を挙げる。
「異なる道を歩んできた2人が同じクラブで共闘し、同じタイミングで代表に選ばれて、同じ試合に出場した。2人の日の丸を背負うストーリーは感動的だ」
32歳で代表初選出のMF水沼宏太、10年ぶりに代表復帰のFW宮市亮。金田氏が感銘を受けたのは横浜FMコンビの姿だった。水沼はA代表デビューとなった香港戦でスタメン出場し、後半19分までプレー。代表に舞い戻った宮市は後半19分から途中出場を果たした。
水沼は横浜FMの下部組織からトップチームに昇格。その後、J2の栃木SCを経て、サガン鳥栖、FC東京、セレッソ大阪と渡り歩き、2020年から古巣の横浜FMに戻ると主力として強烈な存在感を放つ。
「水沼宏太の父親(元日本代表FW水沼貴史氏)とは現役時代に共闘した仲で、個人的な縁もある。身体の正面にボールを置いて、角度がなくても正確なキックを蹴る。あの独特のキックは親譲りで水沼親子ならでは。フィールドプレーヤーでは初の父子で代表。32歳での代表デビューは、これまでのキャリアで諦めずに奮闘してきた結果だ。それに、あの宏太がここまできたか……という個人的な感情もどうしても入ってしまう」
金田喜稔
かねだ・のぶとし/1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。