“チャンス再来”の選手は2人のみ!? ホラー映画を思い出してしまった香港戦の“勘違い”

西村拓真と相馬勇紀にはもう一度チャンスありか

 もちろん、残り30分ではゴールを奪えなかった理由はあると思います。それは後半19分以降に4人を交代させたこと。それまでは横浜F・マリノスの選手を5人起用してチームの核にしてましたが、そこから各チームの寄せ集めになって意思統一ができにくくなったからでしょう。

 宮市亮を入れたので、それでも横浜F・マリノスは4人いたわけですけど、中央でポイントになっていた西村拓真が抜けた影響は大きかったと思うんです。

 ただ、もともと代表はパッと集まってすぐにコンビネーションを作らなければいけない場で、それができなかったことはマイナス評価されてもおかしくない。しかも後半に入ると運動量が落ちてミスも増えましたし。実際シュート数も前半は11本、後半は10本でした。

 疲れが出るから後半は失速するよ、という声があるかもしれません。でもデータを見ると、例えば今年のここまでのJ1リーグでは、前半に生まれたゴールが188点なのに対して、後半は280点。しかも15分ごとに区切って考えると、最後の15分に生まれたゴールが一番多くて106点あるんです。そう考えると、香港戦の後半の落ち方が際立ちます。

 つまり、森保監督にとって香港戦で当確と思う選手はいなかったんじゃないでしょうか。そのなかで、2ゴールずつ挙げている西村と相馬勇紀を後半19分に下げているということは、合格じゃないけどこの2人にはもう一度別にチャンスをあげようとしてるんじゃないか、なんて思えるわけです。

 そんな想像をしながら思い出したのは、先日見たホラー映画。みんなで「あそこまで行けば助かる!!」となんとかそこまでたどり着くんですけど、実はそこから先にもっと進まなければ行けなかったというストーリーでした。

 もしかしたら、後半4点以上取るような、前半よりもさらに強度を上げられるような戦いぶりを見せない限り、森保監督はリストに名前を書き込まないのかもしれない。そう言えば、なんとなく試合後に見せた笑顔が不気味だったような……なんてのは、ホラーが似合う夏だからそう見えたのかもしれないんですけど。

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森 雅史

もり・まさふみ/佐賀県出身。週刊専門誌を皮切りにサッカーを専門分野として数多くの雑誌・書籍に携わる。ロングスパンの丁寧な取材とインタビューを得意とし、取材対象も選手やチームスタッフにとどまらず幅広くカバー。2009年に本格的に独立し、11年には朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の平壌で開催された日本代表戦を取材した。「日本蹴球合同会社」の代表を務め、「みんなのごはん」「J論プレミアム」などで連載中。

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