“チャンス再来”の選手は2人のみ!? ホラー映画を思い出してしまった香港戦の“勘違い”
【識者の目】ゴール以上に「強度」「インテンシティー」「ハイスピード」が重要
日本代表は7月19日のE-1選手権初戦で香港代表に6-0で快勝!! 選手が集合したのは試合前日、それなのに次々とゴールを決めて国内組の実力が決して低くないと証明した。
森保一監督もこれまでのレギュラー組との差を聞かれて、「相手の強度と自分たちのパフォーマンスはすべて比較できるものではないですが、個々のパフォーマンスとしては国内組の代表も強度高く、インテンシティー、ハイスピードで戦える選手が多いと思いました」と太鼓判。これで「日本の未来は明るい!!」と言っちゃってもいいでしょうか?
たしかに26人中11人が初招集というチームで、香港戦の先発には初代表という選手が5人も含まれて、しかも“新人”2人が2ゴールずつ。途中出場でも2人の代表デビューがあり、それで勝っちゃったわけですから、「相手が弱かっただけ」と片付けるにしては日本にとっても不利なカードは揃ってたわけですよ。
だけど、この試合は4か国で優勝を決める大会の初戦、ってだけじゃないんです。国内組でカタール・ワールドカップ(W杯)メンバーに入れるかどうか、最後のアピールの場。じゃあ、W杯アジア最終予選とはまるで違う相手に対するプレーで、森保監督が何を見て選手選考するかを考えながら試合の内容を見なきゃいけないと思うんです。
で、森保監督の発言に戻ります。
森保監督が語っていた評価の要素は、「強度」「インテンシティー」「ハイスピード」の3つ。監督としてはたぶん「海外組はこれくらいのレベルを持ってる」というラインがあるんでしょう。そして、そのラインを上回らないとW杯メンバーに入らない。
つまり、ゴールを取っても「途中で強度やインテンシティーやスピードが落ちた」と思われたらダメ。となると、この試合の得点時間が気になるはずです。
この試合のゴールが生まれたのは前半2分、20分、22分、40分、後半10分、12分。森保監督は、前半4点を奪ったけれども、後半は2点しか取れなかったと考えているんじゃないでしょうか。
森 雅史
もり・まさふみ/佐賀県出身。週刊専門誌を皮切りにサッカーを専門分野として数多くの雑誌・書籍に携わる。ロングスパンの丁寧な取材とインタビューを得意とし、取材対象も選手やチームスタッフにとどまらず幅広くカバー。2009年に本格的に独立し、11年には朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の平壌で開催された日本代表戦を取材した。「日本蹴球合同会社」の代表を務め、「みんなのごはん」「J論プレミアム」などで連載中。