「一番リアリティーがあった」 香港相手に6発快勝の森保ジャパン、日本代表OBが称賛したアタッカーは?
【専門家の目|栗原勇蔵】A代表デビューで結果を残した町野修斗と西村拓真を評価
森保一監督率いる日本代表(FIFAランキング24位)は7月19日、E-1選手権初戦で香港(同145位)相手に6-0で快勝した。A代表デビュー組も数多くいたなか、元日本代表DF栗原勇蔵氏は、初ゴールを含めて2得点を挙げたFW町野修斗(湘南ベルマーレ)とFW西村拓真(横浜F・マリノス)を称賛している。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)
◇ ◇ ◇
森保監督は香港戦で、DF畠中槙之輔、MF岩田智輝、MF藤田譲瑠チマ、MF水沼宏太、FW西村拓真と横浜FM勢を5人スタメンで起用。立ち上がりからプレスをかけると、前半2分にMF相馬勇紀(名古屋グランパス)が直接FKを決めて先制に成功する。
前半20分にDF山根視来(川崎フロンターレ)のクロスに町野修斗がヘディングで合わせて追加点。その後、西村が2ゴール、相馬と町野もこの日2点目を挙げて、6-0で快勝を飾った。
香港は格下というエクスキューズはあるが、栗原氏は「結果を見てもやることはやれた」と評価する。
「簡単な試合にした大きな要因は、まずは相馬の直接FK弾。香港相手というのはありますけど、FKは今の日本代表にない武器。あのナイスゴールで、初出場組を含めて緊張もだいぶほぐれた気がします。最初からプレスに行って相手にペースを握らせず、何もやらせないという気持ちが見えた。あとは力の差がジワジワと表れて、6-0という結果になったと思います」
「相手は香港。その中で評価するしかない」と語る栗原氏。攻撃陣で町野と西村の2人が目を引いたという。
「町野のヘディングでのゴールが、6得点の中で一番リアリティーがあったと思います。相手から1~2メートルくらい離れた場所にポジショニングして、山根のクロスにドンピシャで“点”で合わせた。お手本のようなヘディングでした。西村は振り向きざまのコースを狙ったいいシュートと、左足にボールが乗ったぶれ球でのゴール。彼は中に飛び込んでも行けるのでいいアピールにはなったのではないでしょうか」
森保監督はこの日、カタール・ワールドカップ(W杯)アジア最終予選で途中からメインシステムとした4-1-4-1ではなく、それ以前に使っていた4-2-3-1を採用した。栗原氏は「森保監督の中で、個人のアピールという位置づけだとはっきりした」とその意図について語る。
「選手たちに持ち味を発揮してほしいという、森保監督のメッセージだと思います。今日の結果を見て、(ヴィッセル神戸FW)大迫勇也らよりもいいんじゃないかと思ってしまいがちだけど、そこは少し違って、小さい差に見えて大きな差はある。ただ、可能性を感じさせてもらったのも間違いないです」
7月24日の中国戦(同78位)、27日の韓国戦(同28位)と対戦相手もレベルが上がっていくだけに、そこでどれだけのアピールができるかも重要なポイントになる。
[ftp_del]
[/ftp_del]
栗原勇蔵
くりはら・ゆうぞう/1983年生まれ、神奈川県出身。横浜F・マリノスの下部組織で育ち、2002年にトップ昇格。元日本代表DF松田直樹、同DF中澤佑二の下でセンターバックとしての能力を磨くと、プロ5年目の06年から出場機会を増やし最終ラインに欠かせない選手へと成長した。日本代表としても活躍し、20試合3得点を記録。横浜FM一筋で18シーズンを過ごし、19年限りで現役を引退した。現在は横浜FMの「クラブシップ・キャプテン」として活動している。