ハリルJ進化への4つのキーワード 指揮官が求める世界を驚かすための“意識改革”とは

体脂肪率を含む24時間の自己管理を徹底へ

 そして、ハリル監督の“代名詞”ともなった「体脂肪率」への言及がフィジカル面で行われた。会場のスライドにゴールを決めた後に上着を脱いで喜ぶポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウドの筋肉で盛り上がり、余計な脂肪が見られない“肉体美”の写真を映し出し、「世界一の選手がこうやっている。何人かの選手は、これを見てほしい」と、あらためてその数値について語った。

「身長を伸ばすことはできない。ただ、より力強くはなれる。体脂肪の話をすると、海外組は全く問題ない。国内組は、就任当初は80%の選手が理想から超えていた。今は10%ほどだ。理想の体脂肪率は10%。12%はぎりぎりだ。16%や18%というのはおかしいはずだ。我々は何かの努力をしないと、世界でチャンスは生まれない。グラウンド外での生活管理はどうなのか。疲労回復のことも入っている。ここは私たちが一番やらなければいけない。全てが生活管理であり、全てがフィジカルだ」

 ピッチ外も含めた24時間全てをサッカーに捧げることが、フィジカル強化につながるという信念を語った。逆に言えば、そうした生活をしていれば体脂肪率が高くなるはずがないという意味合いにも受け取れる。ハリル監督が“デュエル”という言葉を多用する体のぶつけ合いだけでなく、サッカーをするのに適した体を作ることがフィジカル強化につながる。その道筋をこのレポートに記したのだと語った。

 ハリル監督は「私は勝利という言葉が好きだ。それが全てだ」と、飽くなき勝利への欲求を口にする。日本サッカーが勝利の文化とサイクルを手に入れていくために、ハリル監督は最大級の情熱を傾けている。2年後のロシア・ワールドカップで、日本代表が世界と互角に渡り合っていくための指針として打ち出された“ハリルレポート”は、日本サッカー協会の幹部だけでなく選手たちにも配布される。日本サッカー界のハリル改革は、ますます加速していきそうな気配だ。

【了】

フットボールゾーンウェブ編集部●文 text by Football ZONE web

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

 

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