ハリルJ進化への4つのキーワード 指揮官が求める世界を驚かすための“意識改革”とは
「組織でなら日本は勝てる」
確かに、今回のアジア最終予選に招集されたFW7人のメンバーリストを見ても、最長身は本田圭佑(ACミラン)の182センチだ。それも、本田はハリルジャパンで右サイドを基本にプレーするため、純粋なゴール前で勝負するFWではない。170センチ台の選手が並ぶなかで、グラウンダーのボールにこだわった連動性が日本の攻撃の大きな鍵になると語っている。キリンカップではブルガリアを相手に7得点したように、指揮官の指導の成果は出始めているのかもしれない。
そして、組織力を重視していくなかで日本人選手のメンタルに働きかけていきたいとも話した。ハリル監督は、リオデジャネイロ五輪で銀メダルを獲得した陸上の4×100メートルリレーのチームを例に挙げ、組織とチームワークの力を力説している。
「4×100メートルリレーで日本がアメリカ(3位入線後に失格)を破りました。アメリカは一人なら速いが、リレーになれば日本の方が速かった。彼らにはアメリカに勝つ自信があった。それをA代表に植え付けたい。組織でなら日本は勝てる。それを植え付けたい。最初に自分をリスペクトして、次に相手をリスペクトする。スポーツ面では違う性格を持たなくてはいけない。2、3日では変えられないが、やっていかなくてはいけない」
ハリル監督は「この1年半で、合宿で『こんにちは』しか言わない選手もいる。それではダメだ。頑固な人もいる。変えたくない人もいる。ただ、変えることはできるはずだ」と実例を挙げ、意識改革の必要性を説いた。組織的なチームを作り上げるためには、チーム内のコミュニケーションが不可欠だ。そして、自分とチームを強く信じる力を、陸上大国アメリカを破ったリレーメンバーから学ぶべきだと力説している。