ハリルJ進化への4つのキーワード 指揮官が求める世界を驚かすための“意識改革”とは
Jに蔓延する“下がりながらの守備”に苦言
「ブロックの高さがどうかは状況による。ただし、前に行きながら守備をするのが原則だ。Jリーグを見るとどうか。ブロックを敷くが低い位置で止まっている。アグレッシブに前に行く場面は少ない。川崎が少しやるくらいだ。他のチームは待っている。そうではなく、前に行きながら守備をしてほしい。Jリーグは下がりながら守備をしている。そこは問題がある。下がりながら相手から3メートル、4メートルと離れて守るのは不可能だ」
Jリーグでしばしば見られるのは、スペースを消し、ゴール前で相手の攻撃を待って守る戦術だ。確かに、人数をかけた守備ブロックを崩してゴールを量産するのは簡単なことではない。さらに、ここ数カ月に限って言えば、日本の高温多湿な夏場のゲームで90分間アグレッシブなゲームを続けるのは無理があり、その運動量調整、いわば“省エネ”の結果としてそうした景色がピッチ上に広がっている事情はあるだろう。
しかし、AFCチャンピオンズリーグなどの国際試合を見ても、精度とパワーのあるミドルシュートや問答無用な高さを利用したクロスボールで守備ブロックの外側や上からゴールを奪われてしまう場面がある。そうした守備の組み立てを日本の弱点として認識し、意識改革を求めていくという。
一方で、「ここは伸びてきたと思う」と手ごたえを口にしているのが攻撃面だ。「ペナルティーエリア内でPKを誘うプレーも必要だ」と苦言こそ呈しているが、日本人の武器を生かした攻撃をさらに進化させていきたいと宣言した。
「代表チームをいろいろと見てきたが、日本は攻撃に関して最後の30メートルにも良いものを持っている。私たちの選手は背が高くない。あまりパワーもない。だからグラウンダーのボールを使い、背後を狙い、速く動かなければいけない。パスが足元なのか、スペースなのかという判断もそうだ。攻撃のアグレッシブさも向上させなければ。とにかくグラウンダーでボールを連携しながら速くつなぐのだ」と、あくまでも日本の武器は地上戦にあると語った。