森保J、カタールW杯へ“滑り込み”の可能性十分「E-1注目メンバー5人」 “FW枠”をこじ開け得る大型ストライカーら厳選

横浜FMで活躍するMF水沼宏太【写真:小林 靖】
横浜FMで活躍するMF水沼宏太【写真:小林 靖】

マリノスで初A代表となった32歳・水沼はキャラクターも魅力

■水沼宏太(MF/横浜F・マリノス)

 32歳での初招集というと遅咲きのイメージを抱かれやすいかもしれないが、マリノスユース時代にはU-17代表のキャプテンを担うなど、同年代の中心にいた選手だった。そこから多くのクラブを渡り歩いて、マリノスでA代表になるというのは感動的なストーリーだが、本人はスタートラインであることを強調する。

 右足からのクロスという絶対的な武器は欧州組を含むフルメンバーの誰にも負けない。セットプレーのキッカーとしても日本代表に足りないクオリティーをもたらしてくれるはず。何より性格が明るく、向上心が高い。26人という大所帯で、開幕戦の試合に絡めなくてもチームを前向きにしていけるキャラクターなので、チームの和を大事にする森保一監督の評価も、この大会を通して高まるのではないか。

■町野修斗(FW/湘南ベルマーレ)

“領域展開”がキャッチフレーズの大型ストライカーで、リーグ戦8得点を記録している。ポストプレーとボックス内のフィニッシュで存在感を出せることから、鹿島アントラーズからベルギーリーグ1部サークル・ブルージュに移籍が確定した上田綺世に代わるE-1の有力候補として期待が高まっていた。

 その矢先、名古屋グランパス戦で終了間際に負傷退場。もし怪我が長引けば招集外になる心配もあったが、まるで“反転術式”のように発表直前のサンフレッチェ広島戦に戦線復帰した。身体能力の高さに加えて、フィニッシュのポイントを見出すビジョンが高い。何よりシュート技術が高いので、落ち着いてゴールを狙うことができる。

 今回選外になった大迫や上田、欧州組の有力候補を含めて、中央のFWは固まっていない。そのわずかな隙間をこじ開けるだけのポテンシャルが町野にはある。

■大南拓磨(DF/柏レイソル)

 ポリバレントな大型DFというのが26人の残り1、2枚というところでアピールポイントになることは間違いない。右サイドバックの候補としては小池龍太(横浜F・マリノス)も素晴らしいタレントだが、やはり大南の場合はもともとセンターバックが本職で、オプションとして起用されたサイドバックで新たな才能が開花したタイプだ。

 本格的にサイドバックでも起用されたのは柏レイソルに移籍してからだが、実はジュビロ磐田時代の19年、サガン鳥栖戦で右サイドバックとして出場したことがあり、クロスからアシストを記録している。

 ルーキー時代から将来のA代表候補として期待されながら“ポカミス”が多く、パフォーマンスにも波があった。しかし、柏で試合を重ねるなかで、センターバックでもアウトサイドでも攻守に安定感のある選手に成長した。

 フルメンバーの左にはやはりセンターとサイドの両方をこなせる伊藤洋輝(シュツットガルト)が台頭してきているが、右側のポリバレントとして大南がアピールに成功すれば、ディフェンスラインの選手層がグッと厚みを増すだけでなく、3バック導入の可能性も高まりそうだ。

河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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