“日本一の頭脳派集団”東大サッカー部の強みとは? 久保建英ら師事の名トレーナーが特別指導で驚き「理解度が高い」
木場克己氏、東京大学運動会ア式蹴球部でスペシャルアドバイザーとして特別指導
スペイン1部レアル・マドリードからの移籍問題で注目される日本代表FW久保建英は、幼少時から体幹トレーニングの第一人者として知られ、「KOBA式体幹バランストレーニング」を主宰する木場克己氏に師事していることでも知られている。
北京五輪女子スノーボード・ビッグエアの岩渕麗楽らトップアスリートの専属トレーナーを務める木場氏は、東京都リーグ2部を戦う東京大学運動会ア式蹴球部(体育会サッカー部)のフィジカル強化を担当するスペシャルアドバイザーとして特別指導。日本一の頭脳派チームに体幹という軸を植え付けている。
昨年からスペシャルアドバイザーとして東大ア式蹴球部の肉体強化をサポートしている木場氏。6月最終週、東大農学部グラウンドで今年2度目の指導を行った。
「新1年生が入ってきたので、練習前に30分間で刺激を入れてほしいと林(陵平)監督から依頼がありました。テーマは体幹とバランスのイメージを作ってもらう部分です」
木場トレーナーを中心にフィールド上に輪が広がり、上級生部員がトレーニングメニューのモデル役を務めた。
「3、4年生は実際の試合でも当たり負けしない体幹はできている印象を持ちました。チューブを使ったフルサイドブリッジというメニューが腹横筋、腹斜筋の強化具合と、お尻と脇腹の連動を見極めるバロメーターをしっかりチェックしました」(木場氏)
フルサイドブリッジは横向きの体勢から半身を起こした状態でスタートするトレーニング。肩の真下に肘を置き、頭から爪先まで一直線にした体勢をキープ。そのまま、両足首に巻いた特製ゴムチューブを真上に開くことで負荷をかけていくというもの。
「サイドからチャージを受けたシーン、球際の競り合いでお尻と脇腹が連動していないと簡単に体勢が崩れてしまう。ゴムチューブを使いながらしっかりできているかがバロメーターになります。トレーニングを見ていると、継続してやってくれていることが分かる。東大生ということもありますが、1つ1つのメニューに対する理解度は高い。サッカーの動きにつながることが期待できます」
木場氏はこう語った。トレーニング後には部員からの質問に答えていたが、木場氏は大学最大の頭脳派集団ならではの部分に気付かされたという。
「トップアスリートを指導する機会は多いですが、トレーニングの効能やメニューに対する理解度が東大の生徒は押し並べて高い印象を受けています。この部分はチームとしての強みだと思います」
学力に裏打ちされたトレーニングやメニューに対する理解度の高さこそが東大の強み。現在東京都2部で2位。昨季陥落となった1部復帰への向けた戦いが続く東大ア式蹴球部が、「目標は1部復帰。夏場の戦いを乗り切れるようにどんどんサポートしていきたい」と木場氏。一時帰国していた久保(7月8日からレアル・マドリードの練習に参加)やほかの選手に加え、頭脳派軍団の指導にも熱を帯びていく夏になりそうだ。
[プロフィール]
木場克己(こば・かつみ)/KOBA式体幹バランストレーニング協会代表。都内でトレーニングジム「COREトレSTUDIO」運営。鍼灸師、柔道整復師。FC東京ヘッドトレーナー(95~02年)を経て独立。久保建英、中井卓大らの専属トレーナー。
(FOOTBALL ZONE編集部)