J1リーグ「上位&下位クラブ」夏の補強ポイント 王者・川崎の“理想の強化”、札幌&磐田に潜む“穴”は?

上田が海外移籍した鹿島の前線は“一枚足りない”?

■補強ポイント考察(2):鹿島アントラーズ、サンフレッチェ広島、セレッソ大阪、柏レイソル

 鹿島アントラーズはやはりサークル・ブルージュに移籍が決まったFW上田綺世の穴埋めというのが急務だろう。もちろん怪我から復帰のFWエヴェラウドがFW鈴木優磨の相棒になっていくだろうが、2トップを継続するにはFW染野唯月の奮起やMF土居聖真のマルチな起用法を加味しても、一枚足りない。また、MF松村優太の怪我が心配される右サイドもMF仲間隼人の奮闘ぶりは伝わるが、縦に仕掛けられるタイプのアタッカーを加えたいところだ。

 サンフレッチェ広島は3-4-2-1がうまくハマっており、主力級で入れ替えが必要なポジションを見出しにくい。その中でアウトサイドはMF藤井智也、MF東俊希、MF柏好文で回しているが、攻守のスタンダードを落とすことなくスペシャリティーを加えられるタレントがいればベターだろう。ミヒャエル・スキッベ監督の戦術はシンプルに整理されているので、技術、体力的なスタンダードが高い選手であれば、フィットにそれほど時間を要さないのではないか。

 もう1つ、前線に決定的なストライカーがいたら理想だが、好調な中で負傷したFWドウグラス・ヴィエイラが順調に回復すると想定するなら、そこも絶対不可欠とは言えない。あとはユースからの2種登録や大卒での加入が内定する選手を特別指定で起用するなど、スキッベ監督のもとでの2年目を見据えた若手の戦力化もしておきたい。

 セレッソ大阪はMF乾貴士の退団が決まっているなかで、MF清武弘嗣の負担を軽減できる2列目の選手は欲しいところ。選手層で言えばボランチや左サイドバックも加えたいが、育成型のチームとして、鹿島戦でベンチ入りした17歳のMF石渡ネルソンのようなタレントのチャンスに蓋をする補強はリスクもある。

 柏レイソルはレギュラー、クローザーとして投入されるサブの選手それぞれ、良くも悪くも固定化している。その一方で大きな怪我のインフォメーションがないうえ、ベンチ外が続いている選手も複数おり、IN&OUTが同時に行われることも想定される。正守護神キム・スンギュのアル・シャバブ・サウジ(サウジアラビア)移籍が決まったGKは、U-21日本代表のGK佐々木雅士がチャンスを得ており、そこの評価次第で補強プランが変わってくる。

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河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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