元なでしこFW大滝麻未が経験した妊娠、出産と復帰への道のり つわり、練習、分娩との向き合い方「当たり前のように産むから引退と思っていた」

日本で主流は普通分娩も無痛分娩を選択 「回復が全然違うと言われた」

「海外ではほぼ無痛(を選択する)みたいなところもあるし、日本(の考え方)的に『1回ぐらいは普通分娩で』とかは最初思ったけど、(無痛分娩だと)回復が全然違うと言われた。(普通分娩は)『手術を麻酔なしでやるようなものだからね』と。うちの近くに無痛分娩で有名な産院があったので、やろうと」

 だが、やっぱり出産は何が起こるか分からない。

「時間的には14、15時間ぐらい。子宮口がなかなか開かなくて、開いてから生まれるまでは早かったけど、処置室に入ってから(子宮口が)開くまでに時間がかかった。(子宮口を開けるための)バルーンを入れたけど、痛すぎて、耐えられなくて。無痛の薬を入れたけど、バルーンがすぐ割れちゃって。結局(子宮口が開くまで)待つしかなかった。(陣痛は)全然、痛かったです。痛い時間が圧倒的に短いんですけど、普通分娩の人はこれをずっとやっているのか……、と」

 新しい家族と、待ちに待った対面。愛息は柚生(ゆずき)と名付けた。10か月、苦しさも楽しさもともに分け合ってきた我が子と今度は新しい人生が始まる。妊娠、出産は人それぞれ。そのなかで、アスリートとして復帰するために考え抜き、これから人生の選択を迫られる後輩たちへ伝えていくことを決めた。大滝の経験がすべての人に当てはまるわけではないが、多くの女性に勇気を与えることは間違いない。

[プロフィール]
大滝麻未(おおたき・あみ)/1989年生まれ、神奈川県平塚市出身。早稲田大学から2012年にフランス女子の名門オリンピック・リヨンに入団。同年3月にUEFA女子チャンピオンズリーグ(CL)でデビュー。13年に浦和レッズ・レディース、14-15年にフランス女子1部EAギャンガンでプレーし、25歳で1度現役を引退。16年にFIFAマスターに入学し、17年に同大学院を修了した。17年に現役を復帰し、パリFC、18年にニッパツ横浜FCシーガルズ、19年からジェフユナイテッド千葉レディースに所属している。国際Aマッチには3試合出場。21年に第1子となる長男を出産した。

(FOOTBALL ZONE編集部・小杉 舞 / Mai Kosugi)

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