元なでしこFW大滝麻未が考える女性アスリートが抱える妊娠、出産の問題 「過去に代表に入っていたからサポートしてもらえた」
女子サッカーを取り巻く妊娠、出産の環境 「カテゴリが下がったときにどうなのか」
さらに、金銭面でもルール以上の助けがあった。国際サッカー連盟(FIFA)は2020年に女子サッカー選手の産休制度を導入。規定では最低14週間の産休が認められるほか、報酬の3分の2を受け取れる制度が設けられた。だが、千葉は全額を保障。このような環境が大滝を後押しした。
「私自身、すごく恵まれた環境の中でやらせてもらえた感覚があった。JISS(国立スポーツ科学センター/でのトレーニングを受けられたこと)も、過去に代表入っていたということがあったからサポートしてもらえたと思うけど、(WEリーグから)カテゴリが下がったときにどうなのか、というのが難しそうだなと感じていて。女子サッカーはWEリーグだけではなく、なでしこリーグももう少し下のカテゴリもある。そういう選手たちでも選べる環境が少しずつ整っていくようになっていったらいいな、と。時間はかかると思うけど、私自身が妊娠、出産を経験して感じたこと」
もう1つ、家族のサポートも大滝を支えた。大滝は、2016年にFIFAマスターに入学。17年に修了した。イタリア人の夫は同大学院の卒業生。国際結婚だが、「育児とか女性に対する考え方も全然違う。彼じゃなかったらできなかったことはたくさんあると思う。ハードルは全くなかった」というほど「120%」の協力があった。試合会場まで息子を1人で連れてきて、授乳やおむつ交換を済ませ、スタンドから声援を送る。普段はお互いの仕事を気にかけながら家事も育児もできる方がやる、というスタンス。サッカーに集中でき、「すごく感謝している」と大滝は話す。
今の夢は「やっぱり柚生の記憶にサッカーするママが残ってほしい」ということ。
「新しいチャレンジだし、妊娠出産を経ていろんな変化もあると思うし、不安も実際あるけど、楽しみ。この年齢になっても大きな挑戦ができるというのはありがたいことなので、頑張りたい」