「NEXT欧州組」は誰だ! 日本代表OBが選ぶ期待のヤングスター候補生、「人とは違うもの」を備えた逸材は?
【専門家の目|栗原勇蔵】20歳FW中島大嘉、19歳GK鈴木彩艶、19歳MF松木玖生に注目
今季のJ1リーグで得点ランキング1位(10ゴール)を走っていた日本代表FW上田綺世は現地時間7月1日、ベルギー1部サークル・ブルージュと2026年6月末までの4年契約を結んだ。近年、海外リーグでプレーする日本人選手が増えているなかで、次にヨーロッパへ羽ばたくJリーガーは誰なのか。元日本代表DF栗原勇蔵氏に、期待値も込みで3人の“NEXT欧州組”を選んでもらった。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)
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上田綺世はまさに「海外に挑戦してほしい」という選手でした。日本人選手は総合的な能力が上がってきている一方で、アタッカーは特に何かに秀でた形ではなく、どの項目も平均的というタイプが多いです。率直に言うと、「絶対に海外へ行ってほしい」という選手があまりいない。そのなかで、期待も込めて選びました。
■中島大嘉(北海道コンサドーレ札幌/FW/20歳)
今季J1成績:11試合(205分)出場、2得点0アシスト
A代表通算:未招集
中島大嘉みたいなタイプが海外でバリバリ活躍する時代が来たら面白いとは思います。あのサイズ(身長188センチ)、体格は努力しても絶対に手に入らないし、彼は人と違うものを持っている。海外で身長190センチ級のストライカーはゴロゴロいますけど、その壁を跳ねのけて、「海外で活躍できる時代が来た」と証明してほしいです。
中島大嘉はスピードに乗れば早いタイプですけど、初速が早いわけではない。つまり、コンパクトにされたり、引いて守る国だと生きない。ラインを高めに設定しているリーグがいいでしょう。
■鈴木彩艶(浦和レッズ/GK/19歳)
今季J1成績:0試合(―分)出場、0失点
A代表通算:未招集
GKは一番「世界と差がある」と言われるポジション。センターバックは冨安健洋のように、プレミアリーグの名門アーセナルで活躍する選手が出てきたので、日本代表の守護神も海外でレギュラーを張れる選手が台頭してきてほしいところです。
鈴木彩艶は16、17歳の時に関係者が「西川(周作)に匹敵する」と言っていて、注目していました。身体能力は恵まれた武器。彼の場合はキックもいい。昨年、西川からポジションを奪いかけましたけど、今シーズンはリーグ戦で出番がなくて、まだ改善点があるのは間違いありません。それでも、世界でプレーしてほしいと思う選手の1人です。
■松木玖生(FC東京/MF/19歳)
今季J1成績:18試合(1431分)出場、1得点0アシスト
A代表通算:未招集
松木玖生はルーキーですけど、すでにレギュラーを張っているので、次のステージにできるだけ早く行くのも1つの選択肢でしょう。若いし、海外で揉まれたらどうなるんだろう、と思わず想像してしまいます。
海外に早く羽ばたくなら、試合に出られないと意味がない。試合に出られるのであれば、プレミアリーグやブンデスリーガに行ってほしいですね。すでに身体の強さはあるので、それを海外レベルに磨いてほしいと思います。
(栗原勇蔵 / Yuzo Kurihara)
栗原勇蔵
くりはら・ゆうぞう/1983年生まれ、神奈川県出身。横浜F・マリノスの下部組織で育ち、2002年にトップ昇格。元日本代表DF松田直樹、同DF中澤佑二の下でセンターバックとしての能力を磨くと、プロ5年目の06年から出場機会を増やし最終ラインに欠かせない選手へと成長した。日本代表としても活躍し、20試合3得点を記録。横浜FM一筋で18シーズンを過ごし、19年限りで現役を引退した。現在は横浜FMの「クラブシップ・キャプテン」として活動している。