白熱するJ2で後半戦の“キーマン”7人を厳選 上位チームで躍動する“心臓”から動力源の選手たちに注目
アタッカーを操る10番や高校時代に話題を集めたボランチ
■平戸太貴(FC町田ゼルビア)
ここまで5得点8アシストという結果が全てを物語ると言っても過言ではないが、町田の10番を背負う彼がすごいのは前線、サイドハーフ、トップ下とあらゆる攻撃的なポジションで決定的なプレーをできることだ。どこで起用されようと正確なキックが大きな武器になるのは間違いない。ただ、それをどう生かすかが重要で、周りに使って使われる引き出しが多く、しかも周囲の特長をリンクさせている。優れたパサーでありながら、ボールを持っていない時に相手のギャップを狙う動きも巧妙だ。町田はドゥドゥをはじめ個性的なアタッカーが揃っているが、その中心には常に平戸がいる。
■鍬先祐弥(V・ファーレン長崎)
選手権で全国制覇を果たした東福岡では長短の展開力が話題を集めた。しかし、早稲田大学を経て長崎に加入し、ルーキーイヤーからボランチの主力に定着できているの理由は守備の強度と献身性だろう。新潟の高宇洋に少し通じるところもあるが、危機察知が鋭く、球際の勝負になったら確実に潰せる。彼がチームの“かすがい”になることで、相棒の加藤大やサイドハーフの選手はリスクを恐れずダイナミックな動きができるのだ。ただ、本人の課題は直接ゴールやアシストに関わる部分でもあるようだ。その意味でも春先の離脱はチームの成績にも少なからず影響しただろう。6月12日に恩師の松田浩監督が解任され、それ以降は原田武男暫定監督が率いたが、7月から指揮をとるファビオ・カリーレ監督のもとで、さらに輝をはなてるのか。目立つプレー、目立たないプレーの両方に注目したい。
■風間宏矢(ジェフユナイテッド千葉)
3バックから4-4-2のシステムに変更し、ここ最近は負けなしが続く千葉。ソリッドな守備はチームの強みだが、攻撃面で大きな働きを見せているのが風間宏矢だ。定位置は右サイドハーフだが、流れの中では事実上のトップ下として2トップを生かし、左サイドハーフの見木友哉がフィニッシュに絡む動きも助ける。風間がボールを触ることでタメもアクセントも作れるので、周りの選手はボールを失う不安なく効果的な動きができるのは大きい。そして攻撃から守備に切り替わる時もファーストプレッシャーに行くのか、素早く帰陣して持ち場の右サイドを守備するのか。そうした判断も的確にできている。加入した当初はなかなか試合に絡めない時期もあったが、尹晶煥監督の信頼も高まり、悲願のJ1昇格がかかる後半戦のキーマンとして注目に値する。
(河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji)
河治良幸
かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。