白熱するJ2で後半戦の“キーマン”7人を厳選 上位チームで躍動する“心臓”から動力源の選手たちに注目

J1昇格へキーマンとなる注目7人に注目【写真:Getty Images & (C) FCMZ】
J1昇格へキーマンとなる注目7人に注目【写真:Getty Images & (C) FCMZ】

【識者の目】J1昇格へキーマンとなる注目7人を選出

 J2は23試合を終えて、トップは勝ち点46の横浜FC。アルビレックス新潟が45で2位に付け、ベガルタ仙台、ファジアーノ岡山、FC町田ゼルビア、V・ファーレン長崎までがプレーオフ圏内にいる。

 自動昇格の枠が2であることを考えると、2位の新潟と勝ち点11差の7位ジェフユナイテッド千葉ぐらいまでが有力と言えるが、今年は昇格プレーオフが復活しており、3位から6位までの4チームに参加資格がある。そうなると、勝ち点32で8位のモンテディオ山形をはじめ、現在17位のブラウブリッツ秋田ぐらいまでは後半戦の躍進次第でプレーオフ入りの可能性はあると見ている。

 今回は自動昇格の有力候補を基準に7人のキーマンを厳選した。

■長谷川竜也(横浜FC)

 チームを循環させる前目のリンクマンであり、彼の存在がなければ小川航基のゴール量産なども考えられない。2ゴール6アシストというここまでの数字もさることながら、それ以上にディフェンスからショートカウンター、引かれたときのアクセントなどで効いている。昨シーズンまで川崎フロンターレ一筋だったこともあり、周りがうまくて当たり前の環境がフィットを難しするかもしれないという懸念はあった。しかし、価値観を押し付けることなく、新しい環境で四方田修平監督のスタイルに適応し、その中で持ち味を発揮して違いを作るアタッカーは後半戦も重要な得点の鍵になりそうだ。

■高宇洋(アルビレックス新潟)

 新潟の唯一無二の心臓だ。直接チャンスに関わることはあまり無いが、中盤でビルドアップと周囲のサポートに努めながら、常に危険を察知して即時奪回や相手攻撃のディレイにつなげる。ボールを奪うことにかけては高卒でガンバ大阪に加入した当初から非凡だったが、レノファ山口でパスワークを磨き、新潟ではバランスワークを身に付けた。“6ポインター”と呼ばれる横浜FCとの頂上対決で新潟は0-2と敗れたが、高を欠く影響を痛感する試合になった。チームの主役は高木善朗や本間至恩だが、“ヤン”こそが攻守の要だ。

■中島元彦(ベガルタ仙台)

 高が新潟の心臓なら、中島は仙台の動力源と言える。セレッソ大阪から仙台への移籍がリリースされた時、筆者はより攻撃的なポジションで起用されることをイメージしていた。もともと中盤から前線までマルチなポジションをこなせる選手だが、アタッカーとしての爆発的なプレーが目をひいてたからだ。しかし、仙台の原崎政人監督は4-4-2のセントラルMFとして主にスタートから起用。それが彼のダイナミズムをさらに加速させる結果となった。得点こそ金沢戦の1点だが、チャンスがあればバイタルエリアに飛び出してシュートに持ち込む姿勢がチームに勢いをもたらす。それでいてフルタイムで守備のハードワークを厭わない。加入後、ほぼフル稼働なので、怪我なく終盤まで仙台の守備を引き締め、攻撃を活性化させる役割を果たすことを期待したい。

■ヨルディ・バイス(ファジアーノ岡山)

 昇格を争う上位チームでも岡山の失点19は最少だ。もちろん木山隆之監督が構築するタイトなディフェンスの賜物だが、後からディフェンスを統率する“昇格請負人”の存在は大きい。柳育崇と組むセンターバック コンビはさながら岡山の門前に構える剛力士像だ。その柳とともにセットプレーの得点源であるバイスだが、メンタル面でチームを支える存在でもある。苦しい時間帯に体を張りながら、誰よりも声を出して味方を鼓舞する。90分ハードワークで戦い続けるというのは岡山の伝統でもあるが、バイスの加入でさらに色濃くなっており、終盤までもつれそうな昇格争いでも大事なポイントになりそうだ。

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河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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