久保建英、伸び悩み打破の鍵は「脱レアル」 現地記者が3つの視点から分析…付きまとう“2大看板”とベストの選択とは?
安易にレアル“復帰”の期待を抱かせるような報道や見解を示すべきではない
はっきりしているのは、ただ待っているだけでレアルへの道が開かれることはないということ。どこであろうと活躍すればレアルの方が取り戻したいと考えるだろうし、それがなければ仮に外国人枠に空きが出たとしても別の選手がそれを埋めることになる。今は落ち着いて仕事ができる環境を見つけ、それに専念することが大事ではないだろうか。
メディアに関わる私としては、現状でファンに対して安易にレアル“復帰”の期待を抱かせるような報道や見解を示すべきではないと考えている。第一に現実的ではないし、選手本人は単にレアルに所属するのではなく、試合に出て活躍するのを目標にしているはずだから。難しい挑戦ではあるが不可能ではない。
今の久保には「レアル・マドリード契約選手」「元バルセロナ下部組織選手出身」という看板が付いて回っている。19-20シーズンのマジョルカでの活躍を覚えているファンも多いだろう。別の言い方をすれば、ここ2年で新たなバージョンアップが図られていないわけで、今後数年で進化した姿を印象付け、自分のプレースタイルを確立することで状況は大きく変わるのではないか。
またベテランクラスのおっさんである私個人としては、今から自身のプロキャリアを積み上げていこうとする青年を羨ましく思うし、途中段階での悩みや葛藤と向き合うのも含めてそのプロセスを楽しんでほしいと願っている。
(島田 徹 / Toru Shimada)
島田 徹
1971年、山口市出身。地元紙記者を経て2001年渡西。04年からスペイン・マジョルカ在住。スポーツ紙通信員のほか、写真記者としてスペインリーグやスポーツ紙「マルカ」に写真提供、ウェブサイトの翻訳など、スペインサッカーに関わる仕事を行っている。