久保建英、伸び悩み打破の鍵は「脱レアル」 現地記者が3つの視点から分析…付きまとう“2大看板”とベストの選択とは?
外国人の久保は弱点を含めたチームを背負っていかなければならない存在
最後の視点が外国籍についてだ。日本人選手が少なくともスペインでやる場合避けて通れないもので、各チーム3枠しか許されていないのだから特別なものになる。当然チームの主力、試合で決定的な仕事ができる人材に与えられるものであり、奇しくもその好例がレアル・マドリードだろう。
久保とほぼ同時期に入団、同年代のブラジル代表FWヴィニシウス・ジュニオールとFWロドリゴ・ゴエスが、先輩格のベルギー代表FWエデン・アザールとスペイン代表FWマルコ・アセンシオを押しのけてレギュラー格にまでのし上がったのはご承知のとおりだ。
外国人の久保は即戦力として単なる選手としてだけでなくチームを担わなければならない。ファンの中には「このチームでは久保が生かされない」といった意見があるかもしれないが、それは本末転倒な考え方で、弱点を含めたチームを背負っていかなければならない存在なのだ。
またサッカー専門家の中でも「タケはもう少し高いレベルのチームでやれば能力を発揮できる」といった声が聞かれるが、こちらも外国人枠のことが考慮されていない気がする。そのレベルで、さらに周りの選手たちを動かす立場を担うにはそれなりのステップアップが必要なのだから。
以上のことから考慮すれば、レアルからの移籍が現時点でのベストの選択ではないか。レンタル移籍ではなく、所属先を変えることで複数年のサイクルで腰を据えてチームやプロジェクトに参加でき、毎年自分の身の振り方を心配する必要がない。買い戻しオプションを付けることでレアル側も喜んで選手を手放すだろう。
島田 徹
1971年、山口市出身。地元紙記者を経て2001年渡西。04年からスペイン・マジョルカ在住。スポーツ紙通信員のほか、写真記者としてスペインリーグやスポーツ紙「マルカ」に写真提供、ウェブサイトの翻訳など、スペインサッカーに関わる仕事を行っている。