久保建英、伸び悩み打破の鍵は「脱レアル」 現地記者が3つの視点から分析…付きまとう“2大看板”とベストの選択とは?
【スペイン発コラム】戦力評価は年々低下、今季も散発的な活躍にとどまった感が強い
日本代表MF久保建英が2回目となるスペイン1部マジョルカでのレンタル移籍を終了した。2021-22シーズン、チームの中でどんな役割を任され、何を学び、成長するためにどう歩むべきなのか。今季ホームゲームすべてを見て長年クラブで取材活動を続けている記者が3つの視点から考える。
まずは一戦力としての評価だが、これは残念なものだったと言わざるを得ない。データは下記のとおりだ。
2019-20(マジョルカ) リーガ35試合出場、4得点4アシスト
2020-21(ビジャレアル/ヘタフェ) リーガ31試合出場、1得点1アシスト
2021-22(マジョルカ) リーガ28試合出場、1得点1アシスト
見てのとおり初年度がピークで、年を追うごとに数字を落としていることが分かる。今季については膝の怪我で2か月戦線離脱しているし、24節アスレティック・ビルバオ戦で終了間際に決勝ゴールを決めたものの記録上は相手GKのオウンゴールとみなされている。また国王杯のエスパニョール戦でフリーキック(FK)を直接叩き込んだシーンもあった。ただし期待が高かっただけ散発的な活躍にとどまった感が強い。
結果論かもしれないが、久保としては全幅の信頼を寄せられていたルイス・ガルシア前監督の下でチームを掌握しなければならなかった。ほぼレギュラーに固定され得点に絡むプレーの一翼を担っていただけに、得点やアシストといった分かりやすい結果を残すサポート体制があった。同監督が成績不振で解任され、結果重視のアギーレ監督が後を引き継いでからは8試合で先発3回にとどまり存在感が薄くなった。
シーズンの最終盤、練習や試合前の様子を見ていて少し気になったことがある。MFハビ・ジャブレス、DFジョセップ・ガヤといった下部組織出身の若手選手たちと過ごすシーンが何度も見られたことだ。
彼らは現時点ではトップチームで招集されるかどうかの当落線上にいる選手たち。これまで久保は同じ若手ならMFイ・ガンインやFWフェル・ニーニョ、ほかにもベテランや外国人選手たちと談笑することが多く見られていただけに、この変化は(変な勘ぐりが許されるならば)チーム内での求心力低下、あるいは本人の中で自信に揺らぎが生じていたように感じられてならない。
島田 徹
1971年、山口市出身。地元紙記者を経て2001年渡西。04年からスペイン・マジョルカ在住。スポーツ紙通信員のほか、写真記者としてスペインリーグやスポーツ紙「マルカ」に写真提供、ウェブサイトの翻訳など、スペインサッカーに関わる仕事を行っている。