「譲れないものは、譲れない」 町田GKポープ・ウィリアムが今季初出場の際に見せた“漢”
リーグ戦14試合目にして出場機会が巡ってこようとしているなかで驚きの行動に
昨季の町田でリーグ戦全試合出場を果たしていたGK福井光輝とは、加入前に交流する機会があった。福井の技術の高さも知っていたポープは、互いに刺激を与え合い、切磋琢磨できる相手だと認めていた。チームに加入してからも、互いにプレー面で気づいたことを指摘し合うことはもちろん、これまでどんな悔しい想いをしてきたかなど、さまざまな経験も共有する間柄になっていた。
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試合に出られないなかでも、自身の力を高めることに注力していたポープに、チャンスが巡ってきたのは、第14節のレノファ山口戦(1-3)だった。前半2分にFW太田修介のゴールで先制した町田だったが、前半のアディショナルタイムに立て続けに2失点を喫してしまう。
この試合もベンチスタートだったポープは、2失点目を喫した時、ハーフタイムのウォーミングアップに向けて、スパイクを履き替えていた。その時だった。ランコ・ポポヴィッチ監督から「おい! 出るぞ!」と、声がかかる。リーグ戦14試合目にして、ようやく出場機会が巡ってこようとしているなかで、ポープは驚きの行動に出た。監督に対して、「そこ(GK)じゃないでしょ!」と言い返したのだという。
「光輝とは、どういう取り組みをして、どういう選手になりたいのかも知っていましたし、いろいろな気持ちを共有して、山口戦まで戦っていました。それに、失点についても、決して光輝が悪かったわけではないと思ったので『そこなのかな?』という疑問があったんです。監督に『出るのか、出ないのか、はっきりしろ!』と言われたので、もちろん試合には出たのですが、『問題の本質はGKだけじゃない』と思ったんです」
決して正しい行動だったとは、ポープ自身も思っていない。監督の受け取り方によっては、自身の立場を危ういものにした可能性もある。冷静になった今、ポープは「当然、試合に出たい気持ちもありましたし、冷静に考えたら、僕にとって損しかないんですけどね」と苦笑する。
「でも、自分がどういう人間であるべきか、どうやって生きていくかは、ここ最近、大事にしているんです。譲れないものは、譲れない。自分が大事にしたいもの、大切にしたいものを、守るべき時は守らないといけないんです」