「譲れないものは、譲れない」 町田GKポープ・ウィリアムが今季初出場の際に見せた“漢”
【インタビュー】昨季J1で14試合に出場したからこそ見えているチームの可能性
FC町田ゼルビアは、6月19日、本拠地・町田GIONスタジアムでのJ2リーグ第22節で、12位のツエーゲン金沢と対戦する。プレーオフ出場圏外の7位で前半戦を終えたなかで、J1昇格を目指すうえで勝たなければならない後半戦の初戦だ。今季から加入し、第15節の水戸ホーリーホック戦(0-0)から先発出場を続け、最後尾から攻守でチームを支えているGKポープ・ウィリアムは、「ここから自分たちがJ1に上がるクラブだということを示していかないといけない」と、強い思いを口にした。(取材・文=河合 拓)
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4位から17位までの勝ち点差が、わずか「6」しかない大混戦となっている今シーズンのJ2リーグ。昨シーズン、クラブ史上2度目となる一桁順位でシーズンを終えた町田は、J1クラブライセンスも交付され、初のJ1昇格を目指す。シーズン前、そんなチームに加入してきたのが昨季はJ1に所属していた大分トリニータから加入したGKポープ・ウィリアムだった。
東京都出身で東京ヴェルディの下部組織からトップチームに昇格したポープが、首都のクラブでプレーするのは、2015年以来、8年ぶりとなる。「地元の近くでプレーできるのは嬉しいことですし、久々に懐かしい道、街を感じながらプレーできるのは、幸せなことだなと感じる」と穏やかに語るが、『自分史上最高の1年にする』という高い目標を掲げ、町田での初年度に挑んでいる。
今季、同じJ2を戦っている大分から、町田への移籍を決断したのも、選手としてさらなる高みを目指すためだった。昨シーズン、キャリアで初めてJ1のピッチに立ったが、「自分の持っている力を発揮できたか、自分の中で100%を出せたかというとそうではなかった。トレーニングで突き詰めたいことがあるなかで、誤魔化しながら試合に出ていた」と振り返る。
大分では、GKのトレーニングメニューは、フィジカルトレーニングの色が濃かった。ポープは「限界値を超えて、選手としての寿命を延ばすうえでは必要なこと」と感じつつも、試合や練習で出てくる課題に、もっと向き合い、突き詰めたい思いが膨らんでいた。27歳という選手として絶頂期を迎え、フィジカルの強化から次に行く段階に入ったと感じていたホープは、町田からオファーを受けて、迷わず移籍を選択したという。
ほかのポジションと異なり、GKはチームで1人しか試合に出場できない。1つのポジションを争うことから、同じチームに所属しているGK同士が、互いに敵視するようなライバル関係になることは、決して珍しくない。だが、「自分史上最高の1年にする」という目標を掲げているポープは、開幕戦からベンチに座ることになっても、「メンタル的に左右されることがなかった」と言う。