J1リーグ後半戦、注目必至の「若手&ベテラン10人」 横浜FM復権のキーマン、“規格外”コロンビア人FWら躍動も

右サイドハーフでインパクトを放ったセレッソの毎熊は飛躍期待のタレント

■ファビアン・ゴンザレス(ジュビロ磐田/FW/29歳)
今季リーグ成績:11試合3得点

 ここまで途中出場が多いなかでも397分で3得点をマークしている。ここまでFWの主力として起用されている杉本健勇に比べると、守備面でやや粗さがあり、コンタクトプレーで無駄なカードをもらってしまうリスクもある。それでもゴールに迫る迫力、単独で相手ディフェンスに脅威を与えられる個の力はJリーグを見渡してもスペシャルだ。コンビネーションも来日当初よりは改善されているが、彼が下手に気を遣って周りに合わせるより、周りが支えることで得点力に直結するのは確かだろう。杉本とも単なる競争関係ではなく、うまく併用する形を伊藤彰監督も模索している。勝ち点1を3に、0を1に積み上げていくために、この規格外のコロンビア人FWをもっと活用してくべきだろう。

■上島拓巳(柏レイソル/DF/25歳)
今季リーグ成績:8試合0得点

 好調の柏にあって、序盤戦はなかなか出番がなかったが、第10節のサガン鳥栖戦で初めて3バックの中央でスタメン起用された。その試合は1-4と大敗してしまったが、ネルシーニョ監督が大南拓磨を右ウイングバックに回す流れで、継続して使われるなかで、試合を重ねるごとに存在感を高めている。浦和戦で松尾佑介のスピードに乗ったドリブルをスライディングタックルで止めたシーンなど、危険な局面でも勇敢に守り抜くメンタリティーと守備の技術が目を見張る。空中戦の強さも武器で、今季ここまでセットプレーの得点はないが、後半戦も主力に定着すれば、貴重な得点で苦しい戦いをモノにする試合も出てくるかもしれない。

■松岡大起(清水エスパルス/MF/21歳)
今季リーグ成績:9試合0得点

 開幕前の怪我からコンディション面は回復しているようだが、本当の実力を発揮するのは後半戦だろう。ボールを奪い、ファーストパスや前に運ぶドリブルで中盤に強度をもたらせるタレントだ。何より、21歳にしてリーダーシップが備わっている。清水は平岡宏章前監督が解任され、ブラジル人のゼ・リカルド監督の下でリスタートを図る。怪我から復帰後、リーグ戦のスタメンは第15節のFC東京戦(0-3)のみだが、フラットな競争で強みをアピールできれば、残留争いの渦中にある清水を浮上に導くキーマンになりうる。

■仲川輝人(横浜F・マリノス/FW/29歳)
今季リーグ成績:13試合4得点

 開幕2試合で3得点を記録し完全復活を印象付けたが、3月に怪我をしてしまい、その流れでACL(AFCチャンピオンズリーグ)を戦った。万全なコンディションではないのは明らかだったが、ACL明けから徐々にパフォーマンスが向上。リーグ中断前の第16節磐田戦(2-0)では松原健のクロスから3か月ぶりのリーグ戦ゴールを決めた。アンデルソン・ロペスが規律違反により出場停止中で、ここのところ好調だった宮市亮も怪我で数試合を欠場する見込み。仲川のエース級の活躍が、復権を目指すマリノスをさらに加速させる可能性を秘めている。

■毎熊晟矢(セレッソ大阪/DF/24歳)
今季リーグ成績:10試合3得点

 もともとFWの選手だったが、2年前に大卒で加入したV・ファーレン長崎で、当時の手倉森誠監督が右サイドバックに抜擢。その期待に応えてブレイクし、2年間で6得点14アシストを記録した。C大阪もサイドバックの戦力として計算していたはずだが、同ポジションは松田陸が健在で、なかなかチャンスが回ってこなかった。転機になったのは第11節の鳥栖戦(1-1)で、小菊昭雄監督は毎熊を4-4-2の右サイドハーフで先発させ、続く磐田戦(2-1)でも4-2-3-1の同ポジションで起用。トップ下の清武弘嗣らと抜群の連係を見せながら持ち前の鋭さを発揮して2得点を決めた。一方でサイドバックを経験したことにより、前目でも強度の高い守備がセレッソに勢いをもたらしている。中原輝という本職のライバルはいるが、左利きの中原とはタイプが異なり、相手にとっては非常にやりにくいだろう。後半戦でさらに飛躍が期待されるタレントだ。

(河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji)

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河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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