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サンプドリア会長のインテル会長に対する人種差別的発言が社会問題化
改善の気配を見せない根深き問題
サンプドリアのマッシモ・フェレーロ会長が、日本代表DF長友佑都が所属するインテルのインドネシア人富豪エリック・トヒル会長に対して人種差別的発言で非難し、謝罪する社会問題が起きた。イタリア高級紙「コリエレ・デラ・セーラ」など複数のメディアが報じた。
サンプドリアとインテルは、29日にピッチ上で対戦する。だが、その前に有名な映画プロデューサーでもあるフェレーロ会長が問題発言で物議を醸している。
インテルに数々のタイトルをもたらしたマッシモ・モラッティ名誉会長がこのほど退任を発表した。ポケットマネーで名門インテルを支え続けてきた、人格者の幕切れにフェレーロ会長は感情的になったのか、問題発言が飛び出した。
フェレーロ会長は、イタリア国営放送「RAI」で放送された番組でこう語った。
「モラッティがこんな処遇を受けるのは間違っている。私は彼を気の毒に思う。だから、私は言ったんだ。フィリピン人を追い出せと…。彼はインドネシアからカルチョの象徴を侮辱するために来たんだ。トヒルのことは好きだが、モラッティを侮辱することは誰にも許されない。彼には触れてはいない。守らなければいけない。モラッティは偉大な男だ。彼はイタリアフットボールのために多くをささげてきたのに」
モラッティ名誉会長がインテルから追放されたと認識したようだ。だが、フェレーロ会長はその後、フィリピン人という冗談が人種差別の意味を持つことに気付き、サンプドリアの公式サイトで謝罪の意を表し、釈明した。
「トヒル氏、フィリピンの人々に対する敬意を損ねようとしたわけではない。私は彼らといつも最高の関係を築いている。RAIのマイクを通じて言いたかったことは、マッシモ•モラッティを称賛すべきだということ。彼は20年以上に渡り、インテルとイタリアサッカーのために尽くしてきた。セリエAに国際大会最後のタイトルをもたらしてくれた。われわれのスポーツを世界中に広めてくれた」
イタリア連盟のラウラ・タベッキオ会長は、UEFAから「バナナを食べていた選手がラツィオのトップチームの選手になれる」という人種差別発言で6カ月の活動禁止処分を科された。
さらに、ベローナも19日に対戦した、ACミランのガーナ代表MFサリー・ムンタリに対し、観衆が人種差別的なヤジを行ったことで、5万ユーロの罰金と、1試合のスタジアムの一部閉鎖の処分が下っている。
セリエAでは、八百長や、サポーター同士の暴力など、さまざまな社会問題が起きている。そうした問題が人気の凋落と、国際競争力低下を招いてきた。だが、人種差別という根深い問題も改善の気配を見せない。
【了】
サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web