吉田麻也の判断ミスはなぜ起こった? 日本代表OBが指摘する失点シーンの“問題点”
板倉に冨安ほどのスピードがない分、吉田の補完性は落ちる
2失点目に関しては、守護神シュミット、板倉とのコミュニケーションがうまく機能していなかったと栗原氏は指摘する。
「どこか人任せでしたね。吉田はGKに出てきてほしい、板倉に来てほしいという思いがあった。でも、周りは吉田が行くものだと思っていた。なんてことはないプレーですけど、1失点目があったからこそ起きたプレー。なかなか信じがたい。あれだけ経験のある吉田でさえああいう状況に陥るわけですから」
栗原氏は吉田と板倉に関して「相性は悪くない」と前置きしたうえで、2人の補完性はDF冨安健洋(アーセナル)やDF谷口彰悟(川崎フロンターレ)に比べて改善の余地があると話す。
「吉田は所属チームで出番が減っていました。あの年齢(33歳)になって試合に出なくなると、現状維持が難しくなる。ワールドカップまでに自分のチームで試合に出て、本来の力は発揮してくれるはずですけど、冨安、板倉もいるわけで、軸が板倉になってもおかしくない。板倉は縦に出せる。吉田がやりそうなプレーをできるので、今後を考えると、板倉にチェンジする時期は近づいてきている気もします。吉田と板倉のコンビは前には強いですけど、裏のボールに弱い。冨安、谷口はスピードがあるからカバーに行けるのに対し、板倉と組んだ場合、吉田はスピードのウィークポイントに自分で対応しないといけない。チュニジア戦で吉田の膿を出し切った、本番じゃなくて良かったと考えて前に進まないといけないと思います」
海外組を招集できるのは、本大会までに9月のあと1回のみ。最終ラインの修正も今後の課題となりそうだ。
栗原勇蔵
くりはら・ゆうぞう/1983年生まれ、神奈川県出身。横浜F・マリノスの下部組織で育ち、2002年にトップ昇格。元日本代表DF松田直樹、同DF中澤佑二の下でセンターバックとしての能力を磨くと、プロ5年目の06年から出場機会を増やし最終ラインに欠かせない選手へと成長した。日本代表としても活躍し、20試合3得点を記録。横浜FM一筋で18シーズンを過ごし、19年限りで現役を引退した。現在は横浜FMの「クラブシップ・キャプテン」として活動している。