三笘薫は「南野拓実を超えた」と英記者見解 森保ジャパン、東京五輪組アタッカー4人の“明暗”指摘
【識者の目】ガーナ戦総評、五輪組4人うち3人は明確な輝きを放つ
日本代表(FIFAランキング23位)は6月10日、ノエビアスタジアム神戸で行われたキリンカップでガーナ代表(同60位)と対戦し、4-1で勝利を収めた。かつてアジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ(W杯)を6大会連続で取材した英国人記者のマイケル・チャーチ氏は東京五輪組のアタッカー4人で分かれた明暗に注目している。
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まるでノエビアスタジアムは練習試合のようだった。声出し禁止の影響もあったかもしれないが、ガーナに躍動感はなかった。正直、試合として印象に残る部分はなかった。ブラジル戦で見せたようなインテンシティーも両軍観られなかった。
チッチ監督率いる精強なセレソンと比べて、明らかに貧弱なガーナのタレントを前に、森保監督は昨年の東京五輪の卒業生を送り出すことを決断した。
送り出された前線の五輪組4人うち3人は明確な輝きを放った。三笘薫はスピードとトリッキーさのみならず、両足からのパス供給能力で守備を瓦解させ、その才覚の成長を強調した。
パラグアイ代表をズタズタにしていた三笘は日本代表の左ウイングの今後を担うべき才能。そして、今も左を託されるべきだ。もはや、左のアタッカーとしての能力と貢献は背番号10を与えられた南野拓実のもたらしてきたものを遥かに超え、かつてないほどのクオリティーを示しているからだ。
久保建英もそうだ。キーパス、戦術眼も素晴らしい。堂安律も躍動していた。スピード、パス能力、勇敢なマークで、スピード一辺倒の傾向の強い伊東純也に替わるオプションになり得る。
この若きグループが、ブラジル戦で脈を失ったかのように見えた最終予選のレギュラー陣を脅かす躍動を見せてくれたことは、森保監督にとっては熟慮に値するだろう。
だが、東京五輪組で明暗を分ける格好になったのは上田綺世だ。鹿島アントラーズのエースストライカーは、その決定力に強い疑念を残してしまった。不在となった大迫勇也を脅かすプレーは見せられず、一度体調が戻れば、大迫は自らのポジションを取り戻すだろう。
一方、敬意の欠如と思われるかも知れないが、川島永嗣が先発で起用されたことには困惑を隠し切れない。シュミット・ダニエルに再び出場機会を与える完璧な機会だったはずだが、ここは理解できない。
テストと日本の若き攻撃的タレントの躍動がインパクトを残した。ここ3試合で2試合に渡って、である。試合ごとに彼らはスタメン組を脅かしつつある。森保監督も彼らの勢いに耳を傾ける時が来たのではないか。
マイケル・チャーチ
アジアサッカーを幅広くカバーし、25年以上ジャーナリストとして活動する英国人ジャーナリスト。アジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ6大会連続で取材。日本代表や日本サッカー界の動向も長年追っている。現在はコラムニストとしても執筆。