久保建英の「守備センスは日本屈指」 日本代表OBが絶賛…先手を取る「クレバーな守備」を解説

守備に奮闘する久保建英【写真:徳原隆元】
守備に奮闘する久保建英【写真:徳原隆元】

【専門家の目|金田喜稔】ガーナ戦で代表初ゴールを決めた久保の守備面に注目

 森保一監督率いる日本代表は、6月10日にノエビアスタジアム神戸で行われたキリンカップのガーナ戦で4-1と勝利した。「天才ドリブラー」として1970年代から80年代にかけて活躍し、解説者として長年にわたって日本代表を追い続ける金田喜稔氏は、ガーナ戦で代表初ゴールを叩き込んだMF久保建英(マジョルカ)の守備面に注目。先手を取る「クレバーな守備」に迫り、「久保の守備能力は高く、守備センスも日本屈指」と絶賛している。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)

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 4-3-3システムを継続したガーナ戦で、久保はインサイドハーフとして6月シリーズで初スタメン。先制ゴールに関与したなか、後半28分にはドリブルで仕掛けたFW三笘薫(ロイヤル・ユニオン・サン=ジロワーズ)のラストパスに反応し、2019年6月9日の国際親善試合エルサルバドル戦でのデビューから約3年、17試合目にしてA代表での初得点をマークした。

 A代表初ゴールが脚光を浴びた久保だが、金田氏はゴールだけでなく、守備面も評価に値すると断言。「攻撃から守備への切り替えの早さが光る」と指摘し、次のように補足している。

「相手にボールを落ち着かせず、考える時間も与えないようにしていた。自分がどこのポジションにいて、誰を見るべきかを、久保はしっかり理解している。さらに、どのコースにパスを通されるとチームが不利になるかも熟知している。その理解が土台にあるから、久保のクレバーな守備が効いている。90分を通じて守備でのクレバーさが際立ったし、攻撃だけでなく守備での貢献度も極めて高い」

 華麗なパスカットや1対1での力強いボール奪取など“目立つ守備”と久保の守備は一線を画すと金田氏は説く。「1対1でのボール奪取ほどの派手さがないから、久保のクレバーな守備は目立たないだけだ」と語り、評価できる理由を説明する。

「久保は未然に危険なパスを潰しているのだから、目立たないのも当然。たとえば、パスを通された後にボールを奪い切るほうが派手さはあるが、危険なところにパスを通されているので、そこで後手に回ればピンチになる確率は当然高まる。久保のクレバーな守備とは、相手にきっかけを作らせない守備であり、パスを通させない守備でもある。言ってみれば“先手の守備”をしていた。そういう意味で守備能力が高いと言えるし、久保の守備センスは日本屈指だ。自分が守備でいかに貢献するかを考えている証であり、それをガーナ戦でも体現していた」

“先手の守備”で相手を牽制し、守備面でもチームに貢献した久保。「やっと日本代表でゴールを決めて吹っ切れたと思う」と金田氏も評するなか、11月のカタール・ワールドカップに向けて、21歳のレフティーはどこまで飛躍を遂げるのか注目だ。

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金田喜稔

かねだ・のぶとし/1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。

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